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    ビョン

    @byoyoyonn

    ときどき赤安字書き。

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    ビョン

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    2/13 ライバボwebオンリー Small b@ tch にてPixivで公開しました『眩惑絢爛 -Precious glare-』のライ視点おまけ小話です。
    時系列としては第2章の後から、第3章の途中、「その夜」までの間の話になります。

    #赤安
    #ライバボ
    mother-in-law
    #スモバ
    smoba
    #スモバペーパー
    smobaPaper

    僕の番犬 : ライ氏の密かなる悩み 三人でのパーティー任務の翌日、俺は一人で魔女のもとを訪れた。
    「何かしら。あなたが私に用だなんて、珍しいこと」
    「これから、あいつを……バーボンを連れ回す時は俺も呼べ」
    「あら? あんなくだらない任務に呼ぶのは最後にして欲しいんじゃなかった?」
     あからさまな揶揄に苛立つが何も言えない。
    「あの子が気にかかるんでしょ。ええ、分かるわ。それにあなたたち二人で並ぶとなかなか良いことも分かったし……いいわよ、任務に支障が無い範囲であなたも呼んであげる。うふふ、まるであの子の忠実な番犬ね」
    「黙れ」
     魔女の揶揄くらいで済むなら安いものだ。

     どうしてあんな子どものような男がこんな腐ったところにいるのだろう。実年齢を聞いた今でも信じられない。見た目だけの問題では無い、なにか無垢でアンバランスなのだ。凄まじく有能で充分に腕も立つのは知っている。なのにどうにも無防備で、周りが見えていない。特に、自分に向けられる好意や欲望にひどく鈍い。
     昨夜のパーティーでも、少し抜けてあの子を一人にした後、戻ってみたら下卑た目をした連中に遠巻きに囲まれ無遠慮な視線をぶつけられていた。揃いのタイピン程度では虫除けには弱すぎたな。
     これが昨夜一度きりのことではないのだ。いや、常にと言ってもいい。ちょっと目を離すと、すぐに声をかけられたり口説かれそうになったりしている。なのに本人は少しも分かっていない。自分がその表情目線ひとつでどんなにひとを狂わせるか全く自覚がない。警告しても通じない。なら俺が番犬になってやるしかない。いや、そもそも俺が気にするのがおかしいのは分かってはいるのだが……困ったことだ。



     任務の関係上、いま俺はバーボンと二人で安アパートに住んでいる。
     ある夜、風呂上がりの格好のまま何やらせっせと手に塗り込んでいた。やたら甘ったるい花の匂いがぷんぷんする……どこぞの女になにか押しつけられたのだろうか。
    「ベルにもらったんですよ」
     またあの魔女の差し金か。あいつはどうもこの子をペットか何かと思っているようなふしがあり、どうにも気に入らず苛ついてしまう。俺にも塗ってやろうかなどと言ってきたが願い下げだ。断ると何やら怒っていたが振り切って出てきた。少し、言い方がきつすぎたかもしれないな……
     最近、俺が夜に外出すると気づくと、一瞬泣きそうな目をする。本人は気づいていないようだが。どうも、明美のところに通って泊まっていると思っているらしい。実際はFBI関係の秘密連絡や諸々の処理に出ているときがほとんどだ。そういう時はたいてい車の中で夜を過ごす。時々は明美の所に顔を出すこともあるが、一応恋人を名乗ってはいるが彼女と俺に肉体関係は無い。
     嫉妬されているのだろうか。そんな都合の良いことを考えてしまうほど、俺の前では感情をあらわにするのだ。先日幹部同士が「あの何を考えているのか分からない探り屋が」と話すのを聞いて優越感を感じてしまった。

     しかし、俺はこの子をいったいどうしようというのだろうか。いつか置いていくか、場合によっては捕まえなくてはならないかもしれないこの子を俺はどうしたいのか。ああ、本当に、困ったことだ。



     魔女のハンドクリームは本人も気に入らなかったらしく、自分で買い直していた。そちらもまた甘い香りだったが、なにか妙にこの子に似合っていて悪くない。成り行きで俺にもハンドケアをしてくれるようになったが、俺の手を見ながらやたら甘い目つきをしてくる。まさか、他の人間にもこんな風に触れたりするのだろうか。こんな、熱のこもった目で見る人間が他にもいたら。そう思うと、腹の底が煮えくり返る。
     ある夜接触したFBIの同僚に、「いつもと違ういい匂いだな。女か?」と揶揄われ腹が立った。あの子の痕跡を外に漏らしたくない。それからは、外出の予定がある夜はケアを頼まないことにしている。

     そしてまた今夜も別のパーティーに二人で呼ばれている。正直、窮屈なドレスアップをさせられて長時間引き回されくだらない会話に付き合わされるのは疲れるが、いつどこの誰がこの子に余計なちょっかいをかけないとも限らないから仕方ない。
    「ちょっとライ……そんなに、四六時中くっついてこなくてくださいよ。そもそも、あなたパーティーとか苦手なんでしょう? なんでわざわざ来るんですか、最近」
    「気にするな。ペットを連れてきているとでも思え」
    「なんだそれ。まあ、邪魔をしないならいいです。でかい犬を引き連れていると思うと悪くないな。じゃああなた、僕の番犬ってわけですね。ほら、お手」
     番犬でいい。少なくとも俺がいる間は、下卑た欲から守ってやらなければ。
    「Bow-wow」
     低く鳴いてやるとおかしそうに笑う。その笑顔はまるっきり子どものようで、ああ、本当に困るんだ。
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    ビョン

    DONE2/13 ライバボwebオンリー Small b@ tch にてPixivで公開しました『眩惑絢爛 -Precious glare-』のライ視点おまけ小話です。
    時系列としては第2章の後から、第3章の途中、「その夜」までの間の話になります。
    僕の番犬 : ライ氏の密かなる悩み 三人でのパーティー任務の翌日、俺は一人で魔女のもとを訪れた。
    「何かしら。あなたが私に用だなんて、珍しいこと」
    「これから、あいつを……バーボンを連れ回す時は俺も呼べ」
    「あら? あんなくだらない任務に呼ぶのは最後にして欲しいんじゃなかった?」
     あからさまな揶揄に苛立つが何も言えない。
    「あの子が気にかかるんでしょ。ええ、分かるわ。それにあなたたち二人で並ぶとなかなか良いことも分かったし……いいわよ、任務に支障が無い範囲であなたも呼んであげる。うふふ、まるであの子の忠実な番犬ね」
    「黙れ」
     魔女の揶揄くらいで済むなら安いものだ。

     どうしてあんな子どものような男がこんな腐ったところにいるのだろう。実年齢を聞いた今でも信じられない。見た目だけの問題では無い、なにか無垢でアンバランスなのだ。凄まじく有能で充分に腕も立つのは知っている。なのにどうにも無防備で、周りが見えていない。特に、自分に向けられる好意や欲望にひどく鈍い。
    1993

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