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    mjchika_432

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    mjchika_432

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    謎令和設定で🎮️配信してる洋三が地下通路を探索して出口にたどり着く🎮️をするはなし。
    ※8️⃣番出口パロです※
    Special thanks 八咲さんでお送りしております!

    午前0時の罰ゲーム 配信の準備をしているとチャイムが鳴った。おそらくネットで頼んでいた荷物の配達だろう、と思いながらインターホンに出るとやはり宅配の業者だった。玄関のドアを開けて荷物を受け取り、ひとまずそのままリビングの床に転がしておく。19時から21時のあいだで指定していたのだが、届いたのは21時になる5分前だった。それまでには届くだろうと21時から配信の予約枠をつくっていたのでいそいで準備をつづける。
    「ん? なんか買ってたのか? 新しい機材とか?」
    「うん、まあそんな感じ」
    「なあ水戸、今日もこええのやんだろ?」
     ソファに座って今日やるゲームを立ち上げていると、三井さんがおれを見上げながらしかめっ面で言った。シュミでゲーム配信をはじめて一年が経ったが、三井さんに付き合ってもらうときはいつもホラゲーの配信なので憂鬱な表情を浮かべている。べつに本気でイヤなら断ってくれてもいいとは思いつつも、おれが「頼むよ」と言うと渋々いっしょにやってくれるのがカワイイんだよなこのひと。ホラー演出にビビりまくって叫んでおれのリスナーにウケているところなんかもすげーカワイイ。
     それから、三井さんはおれが配信するときにメガネかけてるのがけっこうすきだって言うのも知ってる。かけなきゃかけないで生活に支障はないのだが、画面見るときはかけてるほうがラクだっていうのと、チラチラとおれの顔を見てくる三井さんにグッとクるので配信するときは必ずかけることに決めている。このまえ、配信中に三井さんがサカっておれのをしゃぶりだしたとき、メガネかけたままハメてあげたらめちゃくちゃ興奮してたのもすげー良かったんだよな。

    「んー? 今日のはあんま怖くねーやつだよ。なんか間違い探しするゲームっぽい」
    「間違い探し?」
    「うん。間違い探しして脱出する系? おれもネタバレ見ないようにしてたからやってみないとわかんねーんだけどさ」
     まあ怖くねえならいいけど、と三井さんがおれの足もとでつぶやく。仕事から帰ってきて、ゆるく配信しながらラグに座ってビビったりおれの足にしがみついたりしてくる三井さんをうしろから眺めていると、仕事の疲れなんて羽根が生えてどっかに飛んでいって明日もまたがんばるかという気持ちになれるのだ。
     そっと手を伸ばして首すじを撫でる。三井さんが身を捩って「なんだよ」とくすぐったそうな声をあげた。手を伸ばせばすぐに届く場所に三井さんがいてくれるっていうのは、それだけで子どもが思うがままクレヨンを走らせた画用紙みたいにおれの人生をカラフルなものにする。
     動画のなかで『同居人』ということにしている三井さんがじつはプロのバスケ選手で日本代表にも選ばれるほどのすごいひとで、おれとは同棲している恋人同士なんだって言ったらきっとみんな腰を抜かすだろう。
     コメントでときどき「同居人」について訊かれることもあって、そういうときにはいっそ「おれの彼氏だよ」って言ってしまいたくなるときもあるのだが、それはやっぱり秘密にしておこうと思う。イチャついてると変なふうに勘繰られたり、おれと三井さんのごくごく個人的なことを興味本位で訊かれたりするのはあんまり気が進まない。だからこのまま、おれたちはおれたちで楽しくやっていこうと決めている。

    「じゃーそろそろはじめよっか」
     おれが言うと三井さんが「おう」とうなずいた。事前に予約していた枠を立ち上げて配信を開始する。今日やるのは『9番出口』という、さいきん配信者界隈でバズりにバズりまくっているゲームだ。ネタバレを見てしまうとプレイするときにつまらなくなってしまうので極力情報は見ないようにしていたが、どうやら間違い探しをしながら探索して出口を見つけて脱出するというゲームらしい。ホラー要素は少ないようなので、三井さんでもあまり怖がらず楽しめるかもしれない。
    「今日もよろしくー。そんじゃ噂の『9番出口』やってこうかな。あ、コメントでバレはなしで頼むな」
     おれの言葉に反応して『おつー』『9番出口楽しみ』『今日も同居人いんの?』といった反応がコメント欄に流れる。いま話題になっているゲームのせいか、今日はさいしょから同接もおおくてありがたい。
     こうやって配信しながら喋るのもだいぶ慣れてきた。まさか自分がこんなふうにゲーム配信をするなんて思ってもみなかったが、三井さんに勧められてやってみたら案外おもしろくて一年以上続けている。何万人と登録者がいるような配信者ではないが、こうやって自分のプレイや喋りをたのしんでくれたり、三井さんとの掛け合いをおもしろがってもらえたりするのはわるい気分じゃないなといまのところは感じている。
    「えーとなになに……? 異変を見つけたら戻って、異変がなければ進めばいい……ふーん、とりあえず進んでみるか」
     ゲームの説明らしき張り紙を読むと、どうやら地下鉄の通路みたいな場所を進んで、9番出口とやらまでたどり着けばいいらしい。ホラゲーによくある、いかにもなにか起こりますといった暗い映像ではなく、隅から隅まできちんと見渡せる明るい画面なのでこれなら三井さんもへいきなんじゃないだろうか。
    「なんだよこれ? 異変?」
    「なんかおかしいところがあったら進まずに戻って、なにも見つからなかったらそのまま進めってことじゃねーの?」
    「おかしいとこってなんだよ」
    「だからそれを見つけんだって」
     ふーん、と三井さんがいまいち納得していないような返事をする。おれはひとまずコントローラーを操作して前に進むことにした。地下鉄の通路らしく『出口 9』と方向を指し示す案内板や、通路の壁には近くの店でやっているセールや専門学校のPR、新作の劇場版アニメっぽいポスターなどが貼られている。間違い探しだというのだから、どこかおかしなところを見つけなくてはいけないのだろう。ポスターや照明、通路の様子を観察していると、向こうからスーツを着たサラリーマンが歩いてくる。
    「うわっ、なんだよ人も出てくんのかよ」
    「ビビんのはえーよ。近づいてみっか」
     歩いてくるおっさんに近寄ってみるが、進路を妨害するだけでなにか会話が進むようなことはない。どうやらRPGのように話しかけることがトリガーになるのではなく、とにかくこの画面のなかにある異常を見つけなければいけないようだ。
    「おっさんなんも言わねえぞ」
    「そうっぽいね、じゃあとりあえず進むか」
     おっさんとすれ違って通路を突き進む。角を曲がってどんどん歩いていくと、最初に見た説明書きと地下鉄でよく見る出口の案内表示が出てきた。出口はまだ0番のままだ。
    「とくに変わってねーな」
    「なんだこれ、ループしてるってことか?」
     たぶん、と返事をしてまた進む。するとまたさっきのおっさんがおなじように歩いてきた。しかしこんどはおっさんの髪がロン毛になっている。おもわずおれは吹き出してしまった。
    「ちょ、これぜったい異変だろ!?」
    「ンだよ、ロン毛笑ったらおっさんがかわいそうだろうが……くっ、ぶはっ」
    「あんただって笑ってんだろ! とにかくこれ異変だから戻ればいいってことだよな?」
     コメント欄に『そうそう』『ロン毛おじ異変好き』『同居人wwwおじかわいそうwww』とコメントが次々に流れる。来た方向に戻ると、さっきまで0だった出口の表示が1に変わっていた。
    「あーなるほどね。異変見つけて戻れば数字が増えるってわけか」
     おそらく異変がない場合はそのまま進めばカウントが進み、それを繰り返して9番までたどり着けばいいのだろう。システムを理解すればそう難しいゲームではなさそうだ。注意深く観察しておかしなところを見つければいい。
     さらに進むと、またおなじ場所に戻ってきた。なるほど、3Dを使った間違い探しというのはなかなかに新鮮でおもしろい。だれでもできそうな手軽さもあるし、話題になるのもよくわかる。次の一周はとくにおかしなところが見つからず、そのまま進んでいくとやはりカウントが2に変わっていた。
    「お、2になってる。やっぱなんもなかったんだ」
    「これ楽勝じゃねえか? この調子で行こうぜ」
     ホラー要素がないことに安心したのか、どうやら三井さんはいつもとはちがって乗り気になったようだ。たまにはこうやっていっしょに楽しめるやつをやるのもいいなと思う。それはそれとして、おれのホラゲー好きに付き合ってビビりまくる三井さんがカワイくてしかたがないってのも事実。
     さらに進み、すでに見慣れた光景をまた眺める。一見してとくに変化はなさそうに見えるが、見逃してまた0に戻るのはダルい。永遠に歩いてくるおっさんや壁のポスターを確認してから天井に目を向けると、防犯カメラに違和感を抱いた。
    「なんか防犯カメラ変じゃね?」
    「なにがヘンなんだよ」
    「なにがっつーか……」
     そろそろと動いてみると、なぜか防犯カメラがおれの動きに合わせて前後左右に行ったり来たりしている。
    「あぶね。カメラ動いてんじゃん」
    「うおっ、こんな異変もあんのか。おもしれえな、これ」
     そのころになると、三井さんは前のめりになって画面を見つめていた。異変があったのでうしろに戻り、カウントが3になっていることを確認してまた進む。三井さんが気に入ってくれたんなら良かった、と平和にプレイしていたのは残念ながらそのあたりまでだった。
     次の一周に入り、おっさんが歩いてくる通路を眺めている三井さんが「なんか狭くねえ?」と言い出したのだ。おれの目ではどう見てもおかしいようには見えない。
    「なあこれ異変じゃねえの? さっきより通路狭いだろ」
    「え、そんなことねーだろ。変わってねーって」
     おれがそう言っても三井さんは「いいや変わってる、オレにはわかる」と言い張ったため、渋々戻ることにする。すると3まで進んでいた表示が0になっていた。
    「ほら! だから言っただろ! なんもねえって! 0に戻ってんじゃねーか!」
    「わりぃわりぃ。でもぜったい狭かったって!」
     案の定コメント欄は『狭くねえよwww』『ない異変作り出してるwww』と草が生えまくりだ。これでまた0からやり直しだ。やはり自分の勘を信じればよかったとおれは後悔した。戻ってしまったものは仕方がないのでまた通路を進んでおかしなところを探す。こんどは右側にあるドアがひとつおおいことに引き返して進んでいくと、いつものようにスーツのおっさんが歩いてくるのではなく、白いワンピースを着た女の子がこちらに背を向けて通路の真ん中に立っていた。
    「異変ってレベルじゃねーだろこれ」
    「なあ、これ近寄ったらどうなんの」
    「え、わかんねーけど異変見つけたら戻るってことは近寄んないほうが……っておい!」
     おれがそう言っているあいだに、三井さんが勝手にコントローラーを動かしてワンピースを着た女の子のほうに近寄っていった。ああ……と思ったもののもう止められない。女の子の前に立った途端、急にカメラがズームインして女の子の首がグリンと180度回転した。気味の悪い笑顔がどアップで映り、画面がブラックアウトするのと同時に三井さんの野太い声が思いっきり配信に乗る。
    「うおおおおおおおっ!! っンだよこれ!!!! 怖くねえんじゃなかったのかよ!!」
    「……だから言ったのに」
     はあ、とため息をつく。こんなにわかりやすいフラグなのに好奇心に負けて突っ込んでいくからこんなことになるのだ。三井さんのクソデカい叫び声を気に入っているうちのリスナーたちは大喜びで『今日もキタwwwww』『期待を裏切らない男』とコメント欄に打ち込んでいる。

     また0からスタートしたあとも、三井さんは「開いてるし気になるだろうが」と通路の奥にいきなり出現したドアに突っ込んでいっては即終了し、排気口から聞こえてくる音が「さっきと音が違う。サンバみてえなリズムになってるだろ」とわけのわからないことを言っては「んなわけねーだろうが!」とツッコむおれを無視してまた0に戻るなんてことをさんざっぱら繰り返し、おれたちはいつまでも9番にたどりつけないまま1時間半が経過してしまった。
    『二十分でクリアしてる人もいるのにwwwww』
    『風呂入ってきたのにまだ終わってねえwwwww』
     リスナーがそんなふうにおもしろがってくれているのは救いだが、三井さんの行動に翻弄されつづけているおれは疲れを感じはじめていた。こんな調子ではいつクリアできるかわからない。

    「さすがにもう終わらせてーんだけど……そうだ、9番にたどり着くまでにどっちがただしく進めるか勝負しようぜ。負けたほうが罰ゲームな。相手の言うことなんでもいっこ聞くっていうのでどう?」
    「おう、いいぜ。乗った」
     勝負という言葉で三井さんの目の色が変わる。さいしょからこうすればよかったのだ。ゲームだろうがなんだろうが、勝ち負けをちらつかせれば三井さんは本気モードに入る。これで異変に突っ込んだりサンバのリズムが聞こえるなんてわけのわからないことを言い出したりすることもないにちがいない。

     予想どおり、三井さんは目を皿のようにして異変を探し出した。自分で言いだしたことではあるものの、おれだって負けるのは癪に障るので火がついた。天井いっぱいに黒い手形がついていたり、通路の床に「引き返せ」と書いてあったりするみたいな異変はわかりやすすぎて勝負にならなかったが、排気口からだれかがこちらを覗いているのが見えるなんてヤツは三井さんのほうがさきに気づいて「ぎゃああああ!」とまた叫んでいた。ドアに書かれた「清掃員室」の文字の位置がズレているのはおれが見つけ、アス比が狂ってしまったみたいにおっさんが二分の一の細さになっていたのはふたりで爆笑しつつうしろに戻った。
     三井さんは異変がないのにいつまでも探すのに反して、おれは隅々まで見て「ない」と判断したら三井さんが「ある」と主張しても無理やり進んだ。その結果、同時に見つけたものもあわせておれが5回、三井さんが4回の正解でようやっと9番出口から脱出することができたのだった。

    『これほとんどの異変回収してると思うwwwww』
    『おつすぎるwwwww』
     21時からやっていたというのに9番までたどり着いたころにはもう23時半になろうとしていた。リスナーが言っていたように、彷徨っているあいだにほとんどすべての異変を回収していたようだ。楽しくはあったが、こういうゲームで三井さんに舵取りを任せるとろくなことにならないとおれは身にしみて理解する羽目になったというわけだ。
    「みんな付き合ってくれてサンキューな……マジで疲れたわ」 
    「ちょい怖かったけどおもしろかったな! あーでもお前に負けたのは悔しいわ」
    『そういや罰ゲームってなにするの?』
    『同居人ガンバ』
     おれが言った「罰ゲーム」って話にリスナーが反応している。そうだなあ、とおれはさっき届いた段ボールにチラリと視線を向けながら口をひらいた。
    「いまからコンビニ行って酒買ってきてもらおうかなー」
    『そんだけ? 主やさしいな』
    『無茶ぶりされなくてよかったな同居人』
     コメント欄にはおれたちがカップルなんて1ミリも思っていないリスナーの投稿がならんでいる。おれたちの声とリスナーの文字だけのやりとりでは、ほんとうはおれがなにを考えているかってことはだれにも伝わらない。やっぱり同居人じゃなく恋人だっていうのは秘密のままでいいな、と思う。まあおれの頭のなかはリスナーだけじゃなくまだ三井さんもわかっていないはずだけど。
     「今日も付き合ってくれてありがとな」と言っておれは配信を終わらせた。足もとに座っている三井さんの首すじを指さきでそっと撫でる。「ん……」という、さっきまでとはまるで雰囲気のちがういろっぽい声にそそられてしまい、そのまますりすりと首や耳をさすっていると、三井さんが顔をあげておれのほうを見た。
    「ッ、コンビニ、行ってくるんじゃねえの……」
     夜の露を乗っけた花びらみたいに、三井さんの目がしっとりと濡れている。さっきまで配信しながらあんなに騒いでいたというのに、おれにちょっとふれられただけで簡単に性欲のスイッチがはいってしまうところがたまらなくイイ。こんなふうに際限なく三井さんにふれることを許されているのはおれだけなのだと思うと、からだの芯が痺れるようなあまい歓びに満たされる。
    「行ってもらうよ? でもただコンビニ行くだけじゃつまんないからさ」
     おれは床にころがっている段ボールを取り、封をしているテープを剥がして箱を開けた。なかには、ネットで注文しておいたローターとエネマグラが入っている。配信中に三井さんを苛めてあげようかと思って注文したものだったのだが、さっき異変を探しているときに罰ゲームにちょうどよさそうだと思いついたのだ。箱の中身を覗きこんだ三井さんが満月みたいに目をまるくする。
    「お前、こんなの買ってたのかよ……」
    「うん。三井さん、こういうオモチャで苛められるのもすきかなって」
     ニヤっと唇の端を吊り上げて三井さんを見つめる。三井さんがゴクリと喉を上下させたのがわかった。このひと、おれにエロいことされるのがほんとうにすきですきでどうしようもないんだ。三井さんの熱を浴びて、腹の奥に溜まっているものがうるさいぐらいに騒ぎだす。
    「このまえさ、コンビニでゴム買ったとき店にいた男がこっち見てたの気づいてた?」
    「っ、気づいてた……」
    「じゃあ今日はコレ突っ込んだままコンビニ行ってゴム買ってみよっか。おれもいっしょについてってやるからさ」
     段ボールの中からローターを取り出す。三井さんは戸惑っているような顔をしていたが、そこに期待が入り混じっているのを見逃してしまうほどおれはひどい男じゃねえって知ってんだろ、あんたなら。
    「そ、っんなの……」
    「罰ゲーム、なんでも言うこと聞くって約束だったよな?」
     おれが首をかしげて言うと、メガネ越しに見る三井さんの瞳がとろんとうるんだ。これじゃあ罰ゲームになんねーかもな、と喉の奥で笑いながら、おれは買ったばかりのローターの箱を開けたのだった。
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    「ん? なんか買ってたのか? 新しい機材とか?」
    「うん、まあそんな感じ」
    「なあ水戸、今日もこええのやんだろ?」
     ソファに座って今日やるゲームを立ち上げていると、三井さんがおれを見上げながらしかめっ面で言った。シュミでゲーム配信をはじめて一年が経ったが、三井さんに付き合ってもらうときはいつもホラゲーの配信なので憂鬱な表情を浮かべている。べつに本気でイヤなら断ってくれてもいいとは思いつつも、おれが「頼むよ」と言うと渋々いっしょにやってくれるのがカワイイんだよなこのひと。ホラー演出にビビりまくって叫んでおれのリスナーにウケているところなんかもすげーカワイイ。
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