卑怯者のワルツ【2】 手の平サイズの小さなカード。プレゼントと共に添えるには丁度良く、手紙としてはやや足りない。
だが、ほんの六文字を残すのであれば、むしろ多すぎるほどの余白。綴られた文字が、差出人の心情を表すように特に小さすぎるせいもあるだろう。
だが、リオセスリが手に取って真っ先に抱いたのは、字が小さいことの呆れでもなく、ましてや約束を破られた事への落胆でもなく……想定通りというだけ。
あるのは簡潔な謝罪だけ。お詫びの品も無ければ、差出人すら書いていない。
それでも、その相手を金髪の少女と結びつけられるのは、まさに今、自分の背後に本人が隠れているからだ。
息ごと抑え込もうとしているのだろう。恐怖を抱く者の反応を、リオセスリは理解している。それは、このメロピデ要塞を統括するよりずっと前から、それはもう語るのも馬鹿馬鹿しいほどに。
3435