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    日本語版です
    お粗末な話しですが何卒。

    inferior silverこれは少し奇妙な話なんだが
    俺が昨日、最新作のゲームを買いにゲームショップに向かっていた時に
    その道中で、ふと草むらにボロボロのゲームパッケージを見つけたんだ、遠目に見ても絵の原型が分からないくらいボロボロ。
    近くに行って見たら、まるで獣に引っかかれて噛みちぎられたんじゃないかって位の傷だった。
    でも気になった俺は最新作のゲームを買うのを辞めてそのボロボロのゲームパッケージを持って帰って、家で開けてみた。
    そうしたらそれの中身はポケモン銀のカセットだった。
    なんであんな場所にボロボロで落ちてたのかは分からないが、
    幸い、パッケージと違ってまだ遊べそうなくらい綺麗だったし、道端に落ちてたデータの中身が凄く気になって、家にあったゲームボーイカラーにそのカセットを差し込んだ。
    電源を入れると、カセットは難なく起動した。
    そしたら、何かおかしいんだ、そう、音楽の質がガビガビっていうか、耳障りなくらい酷かった。
    いくらゲームボーイカラーだからってここまでBGMの音質が酷いなんてことは無い
    道端に落ちてたゲームだ、やっぱり壊れてるのかと思ったが、画面はなんの問題もなく動いていたし、オープニングの映像もトラブルなく進んでいる、それでもあんまりにも酷い音質だからとりあえずボリュームを切って、Aボタンを押したんだ。
    レポートが残っていない可能性もあったから、ドキドキしていたが
    開いてみればキチンと前の人間のレポートが残っていた。
    名前はalloy、プレイ時間は150時間で、かなりやりこんでいた様だった
    レポートを開くと、少し色が違うような気もするが、見慣れたマップが目に飛び込んでくる。どうやら前の人はトキワシティで終わって居たようだった、とりあえずマップを見るより先に彼のデータをもっと良く見てみようとメニュー画面を開いて主人公のステータス画面を選択する。すると、奇妙なことに現れたステータス画面は困惑するようなものだったんだ
    主人公の見た目が俺の記憶とは微妙に違ってたんだ、それに持ってるバッジの形も、それと一緒に表示されてるジムリーダーの顔も微妙に違う
    それに加えて、主人公の顔はなにかに怯えているような、そんなグラフィックをしていた。
    さっきの音質と言い、このゲームなんだか変だぞ?、そう思い始めて、俺はひとつの結論にたどり着いた
    このゲームはもしかして海賊版なんじゃないかってね。
    その時点で辞めるべきだったんだろうけど、俺は好奇心を抑えられなかった。
    これが海賊版の偽物なら、マップも少し変わってるんじゃないかと思ってメニューを閉じて歩き回り始めた時だった。
    画面の奥の方がまるで大きな爪で削られたように真っ黒になっている事に気づいたんだ、それによく見ればそれはどんどんとこっちに向かって来てる。
    それにどうしようもない恐怖を覚えた俺は慌ててすぐそこにあった建物に入ったんだ
    そうしたらそこはたまたまジムで、なんで入れたのかなんて考えてる暇もなく、とにかく怖かったんだ。それから、ジムに入ったことに後悔した。
    ジムの中はボロボロな上に言葉にもしたくない程の光景で、とても子供向けゲームとは思えない程の真っ赤な惨状だった。
    暫く震えて、動けないでいたよ。そうしたら勝手にゲームが進み始めたんだ。
    奥の方からジムリーダーらしき人物が歩いてくる。
    本来ならトキワシティのジムリーダーはBlueの筈だけど、このゲームでは名前がwistariaになっていた。
    そのうえ彼は顔の上半分がまるで壊れたゲームのグリッチのようになっている上におぞましい笑顔をしていて、夢に出そうなグラフィックだった。怖くて何も出来ず暫く待っているとテキストボックスが表示されてセリフが流れ始めた。

    「やあ alloy 君もよくやるね どう頑張ったって 逃げれやしないのに 」

    「もし 逃げても最後には この世界ごと終わりさ 大人しく運命を 受け入れたらどうだい ?」

    逃げる?何から?彼?
    さっぱり分からない話に俺は困惑と不安で怯えるしか無かった。
    正直もう辞めたかったんだが、目は画面に吸い付いて離れない。また暫く待っていると、見たことも無いテキストボックスが表示された
    いや、主人公が話し始めたんだ、俺は何もしてないのに、勝手に。

    「うるせえよ 俺は死にたくないんだ ましてや あいつに殺されるなんざ ごめんだ」

    「壊れた お前には 分からねえだろうな! 恐怖も 痛みも ... くそっ ... 」

    俺が戸惑っている中一通りセリフが流れたあと、テキストボックスは自然と閉じて、主人公は勝手にジムから出ていった。
    俺はそいつが動かしてもないのに勝手に出ていくものだから、おいよせ、外にはまだあの化け物がいるかもしれないんだぞ!と思っていたら案の定出た瞬間に、黒い爪痕をつけたであろう元凶と鉢合わせした。
    俺は本能的にやばいと思って急いで主人公を動かそうにも手が震えて上手く動かせず追いつかれて

    「████ ████ ██」

    切っていたはずのスピーカーから、耳障りなノイズが流れたあとに、真っ黒に塗りつぶされたテキストボックスが表示されてバトルに入った
    そいつはライバルとよく似ていたが髪は地面に引きずる程長く、顔は泣いたような真っ赤な目以外が影で塗りつぶされていて、更に腕が獣のように大きく、鋭かった。
    その姿は、本来のライバルとは恐ろしくかけ離れた化け物だった。

    「████ が 勝負をしかけてきた !」

    「いけ ! バクフーン !」

    お互いの手持ちの数が現れて、
    Typhlosionが姿を現す。
    相手の手持ちは全てゼロで、恐らく、推測だがライバルのものであろうhpバーが表示されていた。
    それは相手がもうトレーナーでは無い事を表してたんだろう。
    俺は恐る恐る技の中から、火炎放射を選択する。

    「バクフーン の かえんほうしゃ !」

    大きな炎のエフェクトが現れて相手に当たったが...相手の化け物はダメージを全く食らっていなかった。

    「████ の ████ !」


    ザザザザッ!!!っと鳥肌の立つようなノイズが流れて引っ掻くようなエフェクトがバクフーンを襲う。


    その一撃でバクフーンの体力はみるみるうちに減っていき簡単に倒されてしまった。

    「バクフーン は 倒れた !」

    「Alloy の てもとには たたかえるポケモンが もういない !」

    「Alloy は めのまえが まっくらになった !」

    本来なら、ここで戦闘が終わるはずなのだが
    戦闘はまだ続いていた。
    操作の一切が聞かず、主人公の俯いた後ろ姿だけが表示され

    見慣れないテキストボックスが現れて、目の前が暗転する。
    本来なら手持ちが全員瀕死になると、ポケモンセンターから始まる筈だが、
    主人公はその場に留まっていて、逃げるようにそらをとぶの演出が現れて、また画面が切り替わった。
    何処へとんだんだ...?と思っていたらその答えはすぐにわかった。
    シロガネ山。カントー地方最難関の場所。
    そしてレッドがいた場所でもあるからよく覚えていた。
    そして主人公はまた俺の操作を無視して勝手に進んでいく、流石にここまでくると怖いを通り越して腹が立ってきたが大人しく見守る事にした。どうせ俺には何も出来ないし。
    主人公はサクサクと進んでいって、最終的にシロガネ山の最深部まで辿り着いていた。
    主人公がこんなにスムーズに進んでいたのは道中にトレーナーもポケモンも見当たらなかったからだ。
    最深部にはトレーナーが1人。
    青い色をしているけど、多分レッドだろう。
    主人公はなんの躊躇もなくそいつに話しかけると、セリフが表示された。

    「... ...ここまで来て 何をするつもりだ 」

    『... 何をするつもりも 無えよ 逃げるのに 最適な場所だと 思ったまでだ』

    「... ... ... 残念だが 逃げたところで 朽ちるだけだぞ 俺達は この世界から 逃れられはしない いつか あの 赤毛の少年と 同じようになるだけだ 」

    『... それでも 殺されて死ぬのだけは ごめんだ 』

    「... ... ...wistariaは どうだった」

    『急に なんでそんな事聞くんだよ どうだったも なにも もう 飲み込まれちまったよ やめとけ 壊れちまったヤツが もう戻らねぇのは アンタが1番 分かってるはずだぜ』

    「... そうか」

    さっきから話している事を纏めると、コイツらは自分がゲームのキャラである事を分かっているらしかった。よく出来たシナリオだと思えばいいのか、それとも本当に意志を持っているかは分からないが、とりあえず分かったことはあの化け物はデータが破損して生まれたものだって事だった。

    「... どうやら喋っている暇は 無いようだぞ さっさと 逃げるんだな」

    『もう追いついてきやがったってのかよ ?! クソッ おいアンタも 』

    「... 親友に 逃がされた命だったが 肝心のあいつが居ないんじゃ あっても意味を持たない だから 逃げろ 足止めくらいにはなる 」

    『馬鹿言ってんじゃねえ !! アンタと俺が 最期の ... 生き残りだろ ... 』

    「... ... ... 」

    『... ... ... クソッ 』

    主人公は悪態をつくと、その場から走り去っていった。またそらをとぶのテキストが現れて、画面が暗転したが、その瞬間に後ろでなにかが潰れたような音が聞こえた。
    その音がなんなのか分かってしまいそうだったが、分かりたくなかったので知らないふりをした。
    荒いドットの絵のせいで、表情はよく分からなかったが、次の目的地についた時の主人公の顔は、ほんの少し、悲しげな顔に見えた。
    ついた場所はマップ名の表示はされたものの、名前は文字化けしていて、建物はぐちゃぐちゃ、地面もぐちゃぐちゃでバグりすぎていてよく分からない場所だった。なんでここに来たのかも、さっぱり分からなかった。
    暫く待っていると、長い沈黙が続いた後に、ゆっくりとテキストボックスが表示された

    「... なんで 」

    「なんで お前らは 俺達を 作ったんだ」

    主人公が、こちらに顔を向ける。

    「お前ら の せいで」

    「お前ら が これを作ったせいで 」

    「俺達は 苦しんでるんだ 」

    「お前らの チンケな 考えのせいで !!!」

    まるで此方に訴えかけるように、主人公が叫ぶ。淡々と表示されるだけの文字であるのにも関わらず、思わず冷や汗が流れる程に、怒りが伝わってくる。
    おいおい、俺は関係ないだろ!と言いたいところだったが、声は出そうにもなかった。

    「ふざけんな !!!! ふざけんな !!!! お前らの 利己的な 考えのせいで なんで俺達がこんなに 苦しまないといけないんだ !!!! こんなに怯えないといけないんだ !!!!」

    「許さない !!!! 絶対に !!!! 呪ってやる !!!! 呪っテ」

    主人公が鬼のような形相で叫んだところで、文字がぱたりと切れる。
    瞬間、画面に何かが飛んでくる。
    画面越しにへばりついたそれは、
    主人公の首だった。
    荒いドット絵じゃない、顔だと確かに認識できる解像度で。何より、目がこちらを睨みつけていたのが、酷く恐ろしかった。
    思わずゲームボーイを投げて2歩ほど座りながら後退りしたよ、驚きと恐怖で声も出なかった。
    もうこれ以上するのはマズいと俺の中の本能が警鐘を鳴らしていた、慌てて電源ボタンを連打するが、電源は落ちない、
    画面には血が滲んで、目を背けたくなるような状況で、とにかく何をしてでも切らないといけないと思って俺はその場にあったハンマーでゲームボーイをカチ割った。
    バキバキに割れたゲームボーイは機能を停止して、1ミリも動かなくなった。俺はホッとして気が抜けたよ。
    ただゲームボーイがぶっ壊れて止まる寸前の瞬間、赤毛が見えたのは、気の所為だと思いたいけど。
    あれから怖くって、壊れたゲームボーイには触ってなかったんだが、ソフトだけでも取り出して廃棄しようと思って久々に触ったんだ。
    そしたら、ソフトは勿論ぼろぼろになっていて、それはそうだと思ったんだが...、おかしいのは引っ掻き傷のようなものでぐちゃぐちゃになっていた事だった。考えるのも嫌でそのままゴミ袋に入れて廃棄したけど。
    結局、あのソフトがなんだったのかは分からないけど、とりあえずもう落ちてるゲームを拾うのはやめようと思ったね。
    それにあれから、夢に出てくるんだよ
    首の取れた、主人公が。
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