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    多花巣うみpo

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    多花巣うみpo

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    こちらも過去作修正再掲です
    シャワーを浴びるふたりについて

    #よーなお
    #ぷろおれ

    シャワーと八重歯 髪をあらっていたら、なおきくんが、風呂場に入ってきた。
     
     シャワーの湯で、視界がにごっていた。
    (なんやろ……)
     と、思っていたら、うしろから抱きついて来た。
     自分より、すこしちいさい身体。
     キスをカツアゲされるようになって、たくさんキスはしているけど、こうして抱きついてこられるんは、よう考えればあまりなくて、俺はあそこがピンと張るのを感じながら、俯いていた。
     シャンプーをたっぷりとした湯で、流す。
     鏡にも水滴がついていて、なおきくんの顔はよく見えなかったけど、水を被らんように、俺の背にくっついているのは、見えた。
     
     さっきまで、名まえも知らんひとと、一緒にいた。
     かっこよく見えるかもしれないカクテルを頼んで、それをちびちびと呑んで、それから、彼がわだかまらせている言葉と身体を撫でて、ほぐして、ここにおってもええんやって気もちになったらええな、と思いながら、やわらかくして、そんで手を振って、バイバイした。

     もし、また来れば、会えるかもしれない。でも、もううちの店へ来ないかもしれない。
     俺の商売は、そんなことばかりで、もう別にさみしいとか、思わない。

     ゆきずりの縁が触れて、すこしだけ結ばれて、解かれて、去っていく。

    (そんなことばかりや、って思うから、きっと何てことないんやろうな……)

     と、思いながら鏡をぼんやりと眺めたら、水滴の走る光のなかに、なおきくんと、目があった。

     かぷり、と、噛まれる。
     
     俺は、その八重歯が、とてもすきだった。
     首筋に歯を立てて、まるで恋人がするみたいに、舌で肌を舐めて、それからまた痛いほどに、噛んだ。

    (って、ぜったい、明日に残るくらいに、痕をつけないくせに)

     と、思いながら、振り返る。

     頬を両手でつつんで、二十歳の頃から片恋をしているひとの唇を親指ですこし押しあげ、それから、ゆっくりと、八重歯を舐めた。



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