「完了、と」
鏡から片足を伸ばし、何の問題も無く現実世界にイルーゾォは降り立つ…はずだった。
今しがた発した自分の声がいつもより高く、地面に降り立った視線は心なしか低い。自身に降りかかった違和感に慌てて鏡を振り返ったイルーゾォは言葉を失った。
「待て……何が、どうなってやがる」
目の前に映る自分の姿は全体的に小さく、丸みを帯びた曲線の体、張り裂けそうな胸。誰がどう見ても『女性』そのものだった。
本物かどうか体のあちこちを触ってみても、手のひらから伝わる肉質は本物で、ずっしりとした質量を持つ胸はいくら揉んでも縮まなかった。
「マジかよ……」
鏡の中で起きたことを必死に思い返してみると、一つ思い当たる節があった。
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