雨上がる 降り続いた雨を忘れ果てた空は、抜けるような青だった。
借り物の自転車は、二人分の重みをしぶしぶ受け止めたのだと言わんばかりに軋みながら前へ進む。
「五条先輩、やっぱこのチャリじゃあんまり速度出ないって」
ハンドルを両手でしっかりと握った悠仁は、育ち盛り二人分の重みをペダルに乗せて、一気に漕いでいく。
ひと回り背の高い男は、荷台にゆうゆうと腰掛け、長い脚を伸ばしていた。平均的な体格の学生を後ろに乗せるとは訳が違う。自転車に感情や人格があったなら、辞表を提出されても仕方ないレベルだ。
「ガタガタ言わずにそのまま行けって。少しくらい力入れても壊れねえから。知らねえけど」
「自転車壊れたら先輩が責任取ってくれんの?」
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