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    r103123

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    POIPOI 24

    r103123

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    付き合っていないけど身体の関係がある含らのクリスマス
    これ(https://poipiku.com/9064871/9659634.html)の過去軸です。

    バンドau2「このライブいつ決まった」
     バンドメンバー共有のカレンダーをスマートフォンに表示させた魏無羨が大声を上げる。十二月二十五日の欄にはライブを告知するポスターの画像が添付されていて、そこには出演予定のバンドの名がずらりと並んでいた。魏無羨たちのバンドのひとつ上にある『姑蘇』の文字。
     これは由々しき問題だった。
    「半年前ですよ魏兄。江兄が「全員絶対に彼女を作るな」って般若みたいな顔で言ってたのを忘れちゃったんですか?」
     同じバンドのメンバーである聶懐桑がマグボトルを傾けながらのんびりと答える。
    「魏無羨、貴様彼女ができたなんて言わないよな」
     いつの間にか背後に立ってた江澄が地の底を這うような低音で脅しながら魏無羨の両肩をがっしりと掴んでくる。一瞬前まで隣で話していた聶懐桑は、とばっちりを避けるために素早く温寧の後ろに隠れていた。
    「おいおい江澄。俺に彼女がいないのはお前が一番よく知ってるだろ」
     嫌がる江澄の肩に無理やり腕を掛けて皺の寄った眉間をグリグリ強めに揉んでやる。
    「耳元で騒ぐな! お前のことなんて俺は知らない!」
    「彼女ができていないなら魏兄、クリスマスライブの何が嫌なんです? 他に予定が?」
    「いや、そういうわけじゃ無いんだけどさ。なんて言うか……」
    「どうせ飲み会だろ」
     魏無羨の腕から逃げた江澄の言葉に便乗して「そうそう! うっかり行くって返事しちゃったからさぁ」とへらへら笑って見せた。
    「なんだか怪しいですよ魏兄」
    「なんだよ聶兄。疑り深いな」
     自分こそ何かあるんじゃないのか? なんて軽口で話を逸らす。
    「あの、そろそろ練習を再開しませんか? 折角取れたスタジオですし」
    「そうだな。もう一度通すぞ」
     おずおずと提案をした温寧のお陰で休憩が終わり、それぞれ楽器を抱えてポジションに立った。マイクを持った江澄がアカペラで歌い出し、ドラムの温寧と視線を合わせて短く息を吸い、弦を弾く。

     本当のことなんて言えるはずがない。
     前回のライブの後、勢いでセックスしてしまった藍忘機と顔を合わせるのが気まずいだなんて。

     *

     見慣れぬ部屋で朝を迎え、寝汚く寝返りを打った魏無羨は昨晩の出来事を思い出すと飛び起きて直ぐさま逃げ出そうとした。が、先に起きていた藍忘機によって簡単に捕まってしまい、あれよあれよという間に破れた服の代わりを与えられ、バランスの取れた朝食を並べられ……気が付けば改札口で「また学校で」と見送る藍忘機に手を振っていた。

    「……話はしないのか?」
     逃げ出そうとした魏無羨に言えることではないが、藍忘機も昨晩のセックスについて話すつもりはないらしい。それならそれで事故のようなものだと思って済ませてしまえばいいのだが、改めて顔を合わせるのはどうにも気まずかった。
     校舎の廊下の向こうに姿を見つけてはトイレに隠れ、駅で後ろ姿を見かけて道を引き返し、入り浸っていた大学のカフェは遭遇率が高いため近寄らずに過ごしている。皆、うっかりセックスをしてしまった相手とその後どう関わっているのだろうか。経験値の少ない俺にもどうか教えて欲しい。
     あの夜のことを忘れてしまえば、またいい距離の知り合いに戻れるのだろうか。あの、欲に溺れた顔も、初めての感覚も、触れ合った肌の熱さも全て忘れてしまえれば。


     そうこうしているうちに二十五日を迎え、集客力のあるバンドを集めたクリスマスライブは大成功を収めた。
     打ち上げのために貸し切った小さなバーで、今回の取り纏めを担当していた江澄がジョッキを掲げる。
    「無事、馬鹿高い箱代も回収できた。打ち上げも好きなだけ飲み食いしろ!」
     野太い歓声が上がり、そこかしこでグラスがぶつかる音が響く。姑蘇の奴らは隅のテーブル席でひっそりと食事を楽しんでいて、藍忘機と視線を合わせないようにするのは簡単だった。
     やけに親しげに話し掛けてくるどこかのバンドの友達だとか言う女の子の誘いを丁重に断り、ショットグラスを渡してくる奴らと適当に絡み、同じように声を掛けられているあの美人がどうしているのかを横目でそっと観察する。
     久しぶりに見る藍忘機は普段通り落ち着いていて、同じ空間に魏無羨がいても気にならないようだった。気になって、ソワソワして、視線を送らずにはいられないのは魏無羨だけなのだろう。気にして、態とらしく避けて過ごしていたここ一ヶ月ほどの自分が虚しくなる。
    「魏兄、いつもよりペース早いですよね?」
    「ん? 気のせいだろ。打ち上げはいつもこんなもんだよ」
    「いや絶対に早いですよ。少し涼んで来たらどうです? ほら」
     聶懐桑に強引に促されて、頭の後ろを掻きながら店の出口を目指す。地下にあるこの店は、一度店の外に出て階段を登らなければ夜風に当たることも出来ない。
     言われてみれば確かに少し飲み過ぎているようだった。珍しく足元が覚束無い。腕が当たった誰かに謝り、振り返った所で後ろから肩を掴まれた。
    「なに、」
     吸い込まれるみたいに薄い色の瞳と目が合う。僅かに眉を寄せた藍忘機の顔はあの夜を彷彿とさせて、触れられたままの肩がまるで電流でも流れたかのように痺れる。

     バーのマスターと話す江澄の腕を引っ張る。
    「ごめん江澄。先抜けるわ」
    「は? っ、おい、魏無羨!」
     逃げ出すみたいに扉を押して狭い階段を駆け上がる。ちょうど停まっていたタクシーに押し込まれて後から乗り込んできた藍忘機と太腿が触れ合った。至近距離で目が、合う。
    「っ、」
     殆ど空の鞄をそっと膝の上に持ち直す。盛り上がった股座は運転席からは隠せても隣の男からは丸見えになっているのだろう。
     隣で藍忘機がゆっくりと細く息を吐くのを聞きながら前屈みになって歯を食いしばる。

    「魏嬰っ」
     部屋に入ってからは早かった。こんな切羽詰まった声で呼ばれて、突き放す方が無理な話だ。
     ドアに背中を叩き付けられて、服や髪を引っ張りながら唇を合わせる。執拗に舌を吸われ苦しくなって胸を叩くと両腕を掴まれた。

    「魏嬰、私を見て」

     気持ちいいことは嫌いでは無いし、昔から美人は好きだ。目を開けたまま舌先だけを絡めて太腿で藍忘機の硬くなった足の間を擦り上げる。
     割り切った関係だと思えば快楽を拒む必要もない。シャツが引き裂かれる音を聞きながら魏無羨は自らベルトを緩めた。

     終わり
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