まどきゅあ!「魏嬰!」
初めて変身した時、藍忘機と色違いだと飛び跳ねて喜んでいた魏無羨のコスチュームは、所々が破けて縁は血のような赤色に染まってしまっていた。かつては元気な癖毛を愛らしくまとめていた黒髪も、今では千切れかけたリボンが低い位置で無造作に揺れるだけ。
赤く染った瞳は揺れながら藍忘機を捉え、視線が絡むと引き攣ったような声を上げて後退った。
「っ、違う、違う違う違う! 俺は夷陵老祖……その名で俺を呼ぶな!」
魏無羨が右手で放った一撃は凄まじく、藍忘機の傍にいた妖精たちは為す術なく吹き飛ばされてしまう。何とか持ち堪えた藍忘機も頬に走った切り傷から鮮血が伝った。
藍忘機たちが駆け付けるまでのほんの数刻の間に街は見るも無惨に荒れ果ててしまっていた。これだけ暴れ回っても尚、魏無羨の魔力は衰え知らずだ。
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