愛情表現~梅宮の場合~
顔を上げると透き通った緑の瞳と視線がぶつかった。その瞬間、梅宮はふにゃりと目元も口元もだらしなく下げて、やけに嬉しそうな顔をする。
「柊、大好きだぞ」
ストレートに言ってくるもんだから、言葉に詰まる。一気に上がった体温に、梅宮から視線を外す。
「バカ、お前! こんな所で何を言ってんだ!」
叱りながらも小さな声で注意をする。すぐ近くにはことはちゃんも、一年生達もいるからだ。
「へへ、なんか言いたくなっちまって」
「TPOをわきまえろ」
「じゃあ二人きりになったらまた言うな」
「おま、宣言するやつがあるか」
当たり前のようにオレの注意なんて聞かずに、機嫌良さそうに鼻唄を歌う梅宮にため息を吐く。
帰ったら覚悟しとけよ、と内心で呟いた。
*
~柊の場合~
「梅宮」
熱のこもった声で呼ばれ、つられるまま上を向くとチュッと唇が重なった。その後、くしゃりと頭を撫でられる。中々ない柊のデレに目を白黒させていると、もう一度キスされた。
「はっ? ひ、柊? 体調でも悪いのか?」
「別にそんなんじゃねぇよ」
「じゃあ、何……?」
撫で付けられた頭を押さえる。滅多にされない甘やかしに心臓がうるさい。柊は目を細めて少しだけ口角を上げた。
「なんとなくそんな気分だっただけだ」
ペロリと唇を舐めた柊があまりにカッコよくて、心臓に悪い。思わずもう一回と呟くと、そのままソファーに押し倒された。