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    nmc29bananaxxx

    @nmc29bananaxxx

    君と篤に飢えた妖怪
    なんでも食べる
    絵とSSS無節操にぽいぽいする

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    nmc29bananaxxx

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    君大好きな篤

    理由なんてない「おっ君島、今日もそれしか食わねえのか!」
    「……ハァ」
     ここ数日、合宿所のレストランで朝食を摂っていると当然のように向かいに腰掛けてくる男がいる。君島は大きなため息をついた。
    「朝くらい、一人で過ごさせてくれませんか」
    「アァ?それより俺の好きな処刑人の話、聞かせてやるよ」
    「人の話、聞いてました?」
     自分はとうに食事を終えたらしい。湯呑みだけを持ってやってきた遠野は、今日も処刑だの血祭りだの物騒な単語を朝から楽しそうに並べ立てる。周囲はこの光景に慣れてしまったらしく、誰も助けてはくれない。
    「何度も言ってますよね、私は処刑など興味ありません」
    「だからお前にも処刑の良さがわかるように、俺が話してるんだろ」
    「どういう理屈ですか……」
     人の話は聞かないし、自分本位な振る舞いには嫌気がさす。そもそも、遠野は自分の好きな物は相手も好きに違いないという根拠のない自信を持っている。それは彼が幼い頃から家族に肯定されて育ってきた証でもあるのだろうが、君島にとっては鬱陶しいだけだ。どんなに眉間に皺を寄せようと、甲高い声は滔々と語るのを止めない。
    「……と、いうわけだ」
     一通り話し終えて満足したのか、遠野は鼻を鳴らして茶を飲み干した。
    「遠野くん、ずっと考えていたのですが」
    「何だよ」
    「確かにアナタにとって、私とダブルスを組むことはメリットがあるでしょう」
    「ハッ、いきなりどうした」
     君島は遠野を真正面から見据える。思ったことはすぐに口に出すくせに、何を考えているかなどわかったものではない。
    「けれど、普段の私に付き纏っても、遠野くんにメリットはありますか?」
    (そして私にも)
     遠野は君島の顔をまじまじと見つめ、それから呆れたように言った。

    「俺がお前といたいのに、理由なんているか?」

     言いたいことだけ言って、彼はさっさと席を立ってしまった。取り残された君島は、目を見開いて固まる。やがてだんだんと熱を持つ頬。その理由は、まだ知りたくない。

    End.
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    nmc29bananaxxx

    MEMO📕のアレ 月+篤 ちょっと🗼🗼匂わせ
    さして興味はない、が 目当ての本を無事購入し、越知は都内の街並みを歩いていた。ふと、特大広告が目に留まる。
    (君島か)
     近頃の君島は芸能人としての人気がますます高まっているようで、そこかしこで彼の姿を見かけるのだ。相変わらず活躍しているようで何よりだと思いながら、スマートフォンを取り出してカメラを起動させた。
    (……悪くない)
     人が写り込むことも、光の反射が入ることもなく、なかなか良い写真が撮れたのではないか。だからと言ってどうということもないが。スマートフォンをポケットにしまい、また足を進めるとカフェが目に入った。少し休憩でもするかと、店内に入りコーヒーを注文する。
     一息ついたところで、先ほど撮った写真を思い出した越知は再びスマートフォンを手にし、トークアプリを起動させた。通知の一番上にあるトーク画面に、写真を送信する。ほどなくして『新しいCMのやつですね!めっちゃかっこいいです!』という返信と、キラキラと目を輝かせるうさいぬのスタンプが送られてきた。越知はこうして、君島を慕う後輩のためにときどき写真を送ることがある。そのたびに良いリアクションを返してくれるから、口角も上がってしまうというものだ(喩えそれが誰にも気づかれない程度だとしても)。
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