紅茶「オレは紅茶を」
「私も同じものを」
店員は小さくお辞儀をして去っていく。ガンガディアは神妙な顔でマトリフを見た。
「暫く会えなかったから寂しかったよ」
ガンガディアはそう言って机にあったマトリフの手に手を重ねた。マトリフはその温もりに思わず目頭が熱くなる。今の自分にガンガディアの存在がいかに必要なのか、充分にわかっていたからだ。
前世の記憶が思い出さられたのは突然だった。それはマトリフが二人で住むための家を探していた時だった。
マトリフはガンガディアから同棲しようと誘われていたが、ずっと断っていた。その覚悟を持てなかったからだ。ガンガディアはマトリフより若い。それを言い訳にしながら、自分が一歩踏み込む勇気が持てないでいた。
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