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    nmc29bananaxxx

    @nmc29bananaxxx

    君と篤に飢えた妖怪
    なんでも食べる
    絵とSSS無節操にぽいぽいする

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    nmc29bananaxxx

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    🐰種🎂のアレ 滑り込み曲種

    宴のあとで「ったくどうすんだ、これ」
     結局大量に持ち帰ることになったクラッカーの山を前に、大曲はため息をついた。
    「せやから毎日何かお祝いしたらええやん」
     沢山の人に祝われて上機嫌の種ヶ島は、大曲の肩に凭れかかって上目遣いに笑う。ふわりと香るいつもの香水の匂いも、何だかより甘く感じるのは気のせいか。
    「例えば?」
    「えー?『修二くん今日もかっこよくいてくれてありがとう』、とか?」
    「自分で言うなし」
     額を小突くとけらけら笑う声も、綿菓子のように甘ったるい。嬉しい、楽しい、幸せ。そんな感情を素直に表現されて、悪い気がする奴はいないだろう。
    「ま、誕生日はまだ終わってへんし。まだまだお祝いしてくれるんやろ?」
    「それはいいけどよ……そんなに何個もクラッカー鳴らす必要ねーだろ」
    「こういうんは鳴らしたモン勝ちや☆」
    「何だそりゃ」
     ほい、とクラッカーを手渡され、大曲はカラフルなパッケージを眺める。肩にあった重みはいつの間にか顔の目の前にあり、丸い瞳がきらきらと覗き込んできた。
    「そんな至近距離じゃ、鳴らせねーぞ」
    「はは、確かに」
     向かい合い、期待に目を輝かせる種ヶ島を見ていると、彼を驚かせてやりたい気持ちが芽生える。いつもやられている分、ちょっとしたお返しだ。
    「修二」
    「ん、」
     ぱちり、と一つ瞬きをした睫毛が揺れ動くのを、ぼやけた視界で確認した。相変わらず、触れた唇は柔らかい。
    「誕生日おめでとう」
    「竜次……不意打ちは、反則やで」
     胸の中に飛び込んできた柔らかい銀髪の感触に、大曲はそっと頬を緩めた。

    End.
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    nmc29bananaxxx

    MEMO📕のアレ 月+篤 ちょっと🗼🗼匂わせ
    さして興味はない、が 目当ての本を無事購入し、越知は都内の街並みを歩いていた。ふと、特大広告が目に留まる。
    (君島か)
     近頃の君島は芸能人としての人気がますます高まっているようで、そこかしこで彼の姿を見かけるのだ。相変わらず活躍しているようで何よりだと思いながら、スマートフォンを取り出してカメラを起動させた。
    (……悪くない)
     人が写り込むことも、光の反射が入ることもなく、なかなか良い写真が撮れたのではないか。だからと言ってどうということもないが。スマートフォンをポケットにしまい、また足を進めるとカフェが目に入った。少し休憩でもするかと、店内に入りコーヒーを注文する。
     一息ついたところで、先ほど撮った写真を思い出した越知は再びスマートフォンを手にし、トークアプリを起動させた。通知の一番上にあるトーク画面に、写真を送信する。ほどなくして『新しいCMのやつですね!めっちゃかっこいいです!』という返信と、キラキラと目を輝かせるうさいぬのスタンプが送られてきた。越知はこうして、君島を慕う後輩のためにときどき写真を送ることがある。そのたびに良いリアクションを返してくれるから、口角も上がってしまうというものだ(喩えそれが誰にも気づかれない程度だとしても)。
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