街の灯り「う……」
木の上に座って、気絶するように僅かな休息を取って瞼を開ける。横になって眠ったのはどれくらい前であったかも忘れた。
疲労を感じる暇もないくらいに、連日妖魔が現れる。屠っても終わりがなく、まるで魔神戦争の渦中にいるかのようだ。
休める時に休み、妖魔の気配がすればすぐに動き出す。その繰り返しで朝も昼も夜もない。海灯祭の期間は毎年そうだ。百年以上そうしてきたのだから、今更それに対しては何も思うことはない。
鍾離から貰った薬を口に放り込んで噛み砕く。正直苦くてあまり口にしたくはないが、これがないといつ魔に堕ちてしまうかわからない。街の灯火の中に入りたいとは思わないが、折角凡人が祭り事で盛り上がっている中、災厄をもたらす存在になることだけは避けたかった。
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