Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    かいと

    ほぼ鍾タル絵。現パロ、年齢操作、けも化、女体化etc…あなたの地雷に配慮はしません。
    気まぐれにぽいぽいしてます。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 57

    かいと

    ☆quiet follow

    第2回目鍾タルワンドロ・ワンライ用ssです。

    付き合ってない。
    無自覚で先生の事好きっぽいタルタリヤとタルタリヤの事可愛いと思ってる先生です。

    凡人はそんなことしない その日、タルタリヤと鍾離は旅人から秘境探索の助力を頼まれていて、璃月港内の旅館で一泊した旅人と街中で落ち合ってから秘境に向かう約束になっていたのだが、所用が入り先に璃月港から出なければならなくなった鍾離とは秘境近くで落ち合う事になった。
     タルタリヤ達がその場に到着した頃には既に所用を終えた鍾離その場で待っていて、どれだけそこで待っていたのか知れないが、肩や頭に数羽の小鳥が止まっていて暇つぶしなのか指先に止まった小鳥を撫でて愛でていた。そんな姿を見たタルタリヤは

    「先生、まるで絵本に出てくるお姫様みたいだねぇ」

     昔、妹に読み聞かせた絵本の挿絵を思い出してあはは。と揶揄ってみた。

    ***

     秘境探索も難無く終わり、良く動いて良く食べた後は滞在先へ帰って身を清め、程よい疲労感を纏った体はベッドに横になるとすぅっとタルタリヤを眠りの世界へ誘った。普段はあまり夢を見る方では無いのだが、その日タルタリヤは珍しく夢を見た。
     夢の世界の中では何でも有り。タルタリヤは一羽の小鳥となって空を飛んでいた。「え」と驚いて上げたつもりの声も「ピュィ」という愛らしい、高い音が聞こえるだけだった。混乱しながらもパタパタと腕の代わりに備わった翼を羽ばたかせ、辺りを見回すと、璃月港の空を飛んでいる事に気付く。ただ、自分の執務室がある北国銀行やその近くに借りている滞在場所でも無く、璃月港の外れにある年代物の住居が立ち並ぶ、閑静な住宅街だった。任務などで訪れる筈も無い場所だけれど、一度だけ訪れた事がある。記憶を頼りに住宅街の中でも若干小ぶりな、それでも一人で暮らすには十分な広さの家を探し当て、その庭に植わっている楓の木のちょうど窓と同じ高さに伸びている枝に止まればほどなくして目的の人物が窓の前を横切ろうとして、まるでタルタリヤが居る事に気付いたかのように立ち止まり、外に石珀色の視線を向けた。

    「(鍾離先生)」

     往生堂での仕事も休みなのか、いつもの衣装とは違う璃月の人達が着ているようなゆったりしたデザインの服を着ている鍾離の名前を呼んでみるものの、小さな嘴から漏れるのは矢張り高い音の鳴き声だった。
     その時、まるで名前を呼んだ事に気付いたようににふっと口元を綻ばせた鍾離がすぃっとタルタリヤの方に向けて腕を伸ばしてきた。それを見てこの小鳥の体の本能なのか、タルタリヤの意識が何かを考えるよりも先にその翼を広げると、楓の枝を掴んでいた足の力を緩めふわりと羽ばたき、伸ばされた鍾離の人差し指に枝にとまる要領で止まっていた。
     窓の外に伸ばしていた手を自分の体に寄せた鍾離は慣れた風に、タルタリヤ(小鳥)の乗っている手の親指で胸毛を逆撫で、次いで頬を擽る。その絶妙な感触に思わずタルタリヤ(小鳥)は満足そうな鳴き声を漏らし自らその指先に頬をすり寄せる。

    「(なんか滅茶苦茶気持ち良いし…これ、“テクニシャン”ってやつなのかなぁ…)」

     鍾離が屋外で一人で立っていると気付けば小鳥が群がっている理由がちょっと解ったような気がする。そんな事を考えていると、今度はもう片方の手で頭頂部の方を優しく撫でられている事に気付き、日中に現実でその姿を目撃した時に抱いた感情を思い出した。

     故郷のタルタリヤの家族はスキンシップの多い暖かい家庭だった。何かを頑張ったり、良い事をしたら父母も兄姉も頭を撫でて褒めてくれた。自分も下の弟妹を褒める時は同じようにした。昔は誰かに撫でてもらうなんて当たり前の行為だったけれど、14でファデュイに入ってからはそんな事とはほぼ無縁になった。最年少で執行官に上り詰めてからは他国で駐在任務に就かされてばかりで、それ自体には別に不満は無いのだが、時折本国に帰っても女皇への任務報告や何やらで時間を取られ、またすぐに別の場所へ移らなければならくなって実家に顔を出す事もままならない。筆マメなすぐ下の妹のお陰でお互いの近況報告は出来ているものの、あまりに会えないせいで一番下の弟がスネージナヤからの定期船に潜り込んで会いに来てくれた事は酷く驚いた。無意識に弟の前では“公子”タルタリヤでは無く、ただの兄になっていたようで、パイモンには「キャラが違う」と気味悪がられた。
     とどのつまりスキンシップに飢えていたんだと思う。旅人と知り合ってからは旅人に手を貸す少年少女達と交流する事もまま有り、弟と久しぶりに会ってそういったスキンシップを思い出したからか彼らを労う為についつい頭を撫でてしまう事が増えた。
     頭を撫でる事は増えたけど、撫でてもらう事は無い。まぁ、もう一人前の大人、それも多くの部下を抱える執行官なのだからそれも当たり前のような気がするのだが、ほとんど自分が望んだ事とは言え、まだ子供だっただろう14の頃からそんなあたたかな場所から離れてしまった。

     そんな今、数少ない友好的で日常的な付き合いのある自分よりも年上の人物である鍾離に撫でられる小鳥に「羨ましい」なんて気持ちを抱いた事を思い出してしまい「ピュィ」と鋭い声を上げて首をぶるぶると振った。

    「(何考えてるんだ、俺)」

     自分自身の感情に混乱して、目を白黒させながら体をブルブル震わせていると先程の鳴き声に驚いたのか一旦撫でるのを止めた鍾離が「どうした?」と視線を合わせてきた。
     温かな石珀色の目を見つめる事でだんだん冷静さを取り戻したタルタリヤは、はぁと小さく息を吐く。

    「(どうせ夢なんだし…いいよね…)」

     現実では無い、夢の中なのだからささやかな温もりに身を委ねてしまって良いだろう。そう思ったタルタリヤ(小鳥)は頭を鍾離の手に、撫でるのを催促するように擦り寄った。鍾離は心得たとばかりに再び撫でるのを再開して、体中を巧みに撫でまわす手の平や指先の感触に目を閉じ、タルタリヤ(小鳥)がピュィ…と小さく満足げな声を漏らす。完全に油断している状態で頭上からふっ…と鍾離の吐息のような笑い声が聞こえてきたな。なんてぼんやりと頭の隅で思っていると、

    「愛らしいな公子殿」

    ━━━━━は?

     今、何て言ったバチっと目を開いたと同時にタルタリヤ(小鳥)を乗せた手が持ち上げられ、小さな嘴の先に柔らかい感触が触れた。至近距離に見えた石珀色の瞳が瞬いて、笑みの形に細められる。嘴に、何が触れたのかやっと認識したタルタリヤは━━━

    「はっ……⁉︎」

     見慣れた滞在先の天井が目に飛び込んできてタルタリヤは跳ね上がるようにベッドの上で上体を起こした。

    「俺、何て夢見て……⁉︎⁉︎」

     バクバクと早鐘を打つ心臓を抑える様に胸を押さえているとふと頭に過る誰かに聞いた「夢は願望の現れ」という言葉

    「(いやいやいや…は?がん、ぼう…)」

     夢の中で何があったか思い出して、爆発したんじゃないかという勢いで顔が熱を持つ。バチン‼︎と音を立て両手で顔を覆ったタルタリヤはバフンと顔面からベットに倒れ込んで、寝具に吸い込まれなければ近所迷惑になっていたんじゃないかというぐらいの音量で「ありえないから‼︎」と叫んだ。

    ***

     とんでもない夢を見てしまったお陰で予定よりも随分と早く目覚めてしまったタルタリヤは二度寝をする気にもなれず、いつもより早めに北国銀行へ向かうために滞在先を出た。が、普段と違う行動を取った事がまんまと裏目に出てしまう。

    「おはよう公子殿」
    「ぉ、はよう、鍾離せんせ」

     とんでもない夢を見てしまったせいで今一番顔を合わせたくない人物と早速遭遇してしまった。ひっくり返った声で挨拶を返したタルタリヤを訝しく思う事も無く、笑みを浮かべた鍾離がゆったりとした足取りで近付いてきた。後退りたい、それどころか踵を返して逃げてしまいたくなる気持ちをぐっと抑えていると、眼前で立ち止まった鍾離がそっと腕を上げて、大きな手のひらでタルタリヤの頭を撫でた。

    「○@✕△※ っ、に」

     驚きのあまり奇声を上げて、それでも何とか何?と辛うじて聞き取れる声を出したタルタリヤに少しだけ不思議そうな顔をした鍾離は「寝癖が」と言った。どうやら、寝癖を直してくれようとしたらしい。声で指摘してくれるだけで良いのに。と若干苛立ちながらも「ありがとう」と返したが、何故か鍾離の手は寝癖なんてとっくに直っただろうに未だに離れない。
     その手付きが優しくて、夢の中で感じた通り気持良いな…なんて思ってしまったが異様な状況だ。何で、まだ、戸惑いの視線を向けると鍾離が意味深に笑った。

    「そんなに撫でられるのが好きか」
    「……は…………………」
    「昨日の公子殿が俺の撫でている鳥に向ける視線は…そうだな“嫉妬”すら感じる程の眼差しだったな」
    「な、え…」
    「小鳥の姿にならなくても、言ってくれれば喜んで撫でてやる」
    「は……………」

     鍾離が、まるで昨夜タルタリヤが見た夢を覗いたような事を言うので思考が止まる。ちなみにその間も鍾離の愛でる様な手は止まらない。

    「やはり、公子殿は愛らしいな」

     その時、以前旅人から鍾離が“夢枕に立つ”と言う他人の夢に干渉する仙術を使えると聞いた事を思い出した。
     そう言えば、夢の中の鍾離のあんな服装なんて一度も見た事が無い。現実で見た事の無いものを見るなんてそうそう無いだろう…ということはつまりあの鍾離は夢の中でタルタリヤが作り上げた者では無いということで…

    「凡人はっそんなことしないからっっ」
    「はは、公子殿そんな大声を出しては周りの迷惑になるぞ」

     混乱のあまり多分人生で一番の大声で叫んだタルタリヤに鍾離は呵々と笑う。
     今は混乱のあまり気付いて居ないが、では、夢の中でタルタリヤ(小鳥)に唇を寄せたのはタルタリヤの願望が見せたものでは無い。という事に気付いてしまい思わず執務室の備品を破壊してしまうまで後数時間…
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏👏👏👏☺🙏❤💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator