万葉くんのジェラシー稲妻へと航海中の死兆星号。
激しい嵐をどうにか乗り越え、永遠の国まであと一歩という所まで到達していた。
穏やかな潮風が髪をなびかせる。昼食を済ませた私は甲板に座って、流浪の少年・楓原万葉の声に耳を傾けていた。
「…といった、画期的な作戦で彼は見事自軍を勝利に導いたでござるよ」
「すごい!賢い!!」
今聴いていたのは昔に稲妻で起きた戦の話。機転をきかせて劣勢をひっくり返し、城を落とした凄腕軍師とやら……らしい。万葉は難しい言葉を沢山知っていて最初はちんぷんかんぷんで頷いていたのだが、そんな私に気付いて途中からは噛み砕きながら説明してくれた。彼の頭の良さが窺える。
「そこまで思い通りに進んだら気持ちいいだろうね、面白い〜!」
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