白2ヶ月と3日だ。
「あっ。」
今缶のホットカフェオレをコンビニで買ったのにまた忘れたと気づいたのは寒さでジャケットのポケットに手を入れた時、街頭に照らされつつ逆ポケットに缶を滑り落としてから、先に手を入れた方からタバコの箱を取り出した。1本取り出して口に咥えつつ歩みを進める。だが煙は吐き出さない、何故なら火を付ける術がないから。
毎度忘れる俺もそうだが、こんなことをさせるアイツもどうなんだ。2ヶ月と3日だぞ。
一か八か、声を掛けてみる。
「ヤマンタカくん。」
「なんだ。」
「火ィ、ちょーだい?♡」
「…………はぁ?」
「ゴメンって……」
そもそも夜魔徳は虚無王の眷属であり、物質に火を付けることは不可能である。そんなこと百も承知だ。火についていないタバコを加えながら両手をポケットに入れて夜道を歩く、口から出るのは煙ではなく白い息が薄く……ただなんとなく上を見た。寒い中の星はまぁ綺麗だこと。溜息を付こうと口からいっぱいに冷たい空気を肺に入れた瞬間……
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