栄えある大国の王子は、小国の姫を結婚相手に指名する(仮題) 厳かなベルが鳴り、鳥が青空に羽ばたいていく。
ここはリンデ国にある、国立の専門学校。
授業が終わると、中庭で歓談するのが習わしだ。
昨日から、ここの生徒たちの間では――否、生徒に限らず教師や、この国の人々も――浮ついた話で持ち切りだった。
なんでも、リンデ国の王位第一継承者である英智王子が、自身の結婚相手を選ぶパーティーを催すのだという。
「どんな人が選ばれるんだろう?」
「由緒あるお家のお嬢様とか?」
「近衛大臣の妹、かわいいらしいよ?」
「まぁ、私たちには関係ないわ……招待状がまず来ないもの!」
「雲の上の存在、まるでおとぎ話よね。素敵だわ!」
「誰か誘ってくれないかしら。英智王子をひと目見るだけでいいから!」
2399