happy trail あーさりくーん、というきいろい声が練習場に響き渡った。
なんだと見やるそのさき、フェンス越しに大学生らしい少女たちが手をふっている。きゃっきゃと笑いさざめくさまはなかなかに愛らしい。さてではなまえを呼ばれた当人はと見れば苦虫を噛み潰したような顔をしているから、福田はつい苦笑してしまう。青少年だよなあ、と心のうちでつぶやいて、一年生の集団に歩み寄った。
練習を終えたばかりで、子どもたちはまだ汗も拭いていない。上級生たちがぞろぞろと帰っていくのに遠慮しているのか、練習場の片隅でかたまって立ち話をしている。注目の的となっている朝利はむっとした顔を隠そうともせず、そのかたわらで青井が減るもんやなし手ェくらいふってやれやと言い、大友がなにやら呪詛の言葉を吐いている。
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