一途な男 幽霊族は一途である。
か、どうかを鬼太郎は知らない。絶滅を待つだけの種族である。鬼太郎が知る幽霊族は自身と父の二人だけだ。過去に訪れた地獄でご先祖様だという人物と話をしたことはあるが、人となりを知る程関わったわけでもない。であるからして、幽霊族という種族が一途であるかどうかを鬼太郎に判断することはできない。
しかし、鬼太郎は自身を一途な男である、と自認している。幽霊族だからそうなのか、鬼太郎自身の特性であるのかはわからないが、物心ついた頃から小さな父を愛していたし、彼を害する全てから守るのだ、と誰に言われるでもなく自然と決めていた。恋の概念を知った時も、当たり前の様にその初めての想いを父に捧げている。何十年だ。人間であれば世に出てから墓場に帰るくらいの間だ。鬼太郎は、父を想っている。それを一途と言わずなんと言う。
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