秕の罪夜食②
ベッドに横になって目を閉じる。
ぐぅ、と腹の虫が鳴いた。
あーあ、まじか。お腹すいたわ。
今からコンビニにでも行こうかと考えたけど、明日は早いし今から外に出たら多分寝るのはいつもの4時コース。それでは寝不足が極まってしまう。
だから今日の俺は家にあるもので腹を満たす事にした。
今の口は和風。でも真夜中に食べるマヨネーズとチーズ程美味いものはない事を知っている。
それは外せないよなぁなんて思いながら何が冷蔵庫にあったっけとごそごそと漁る。
ついでに冷凍庫も見てみれば少し前に餃子を作ろうと意気込んで買った餃子の皮をみつけた。
うーん、餃子の皮…あ、そうか。あれを作ろう。
餃子の皮と…あとあれだあれ。
パントリーから切り餅を取り出す。あったあった。これがあればあれが作れるのだ。
切るから手間だけど、真夜中に食べるもんは手間とカロリーは惜しまないと決めている。
だってこの背徳感に勝るものはないのだから。
真夜中の背徳感というスパイスは本当に最高なのだ。
餅を小さめのサイコロ状に切る。
IH用のフライパンの上にクッキングシートを引いて、餃子の皮を敷き詰める。要はこれが生地の代わり。
そこにソース代わりのマヨネーズを塗りたくり、醤油をぐるりとまわしかける。
切った餅を散らして……ん、これだけじゃ物足りない。あぁ、ツナ缶も開けちゃおっかな。コーンでもいいけど今は旨味も欲しいからツナ缶で。
ツナを散らして…あぁダメだ。長ネギも入れたい。シャキシャキ感が欲しい。
長ネギは斜めに切って、これも満遍なく散らす。
うん、これでよし。あとは罪を重くする為にチーズを山盛り。ヤバい。破壊力ヤバい。
そんでしっかり蓋をして…あとは電磁調理器のタイマーと火力を弄ればあとは待つだけ。
あぁ、早く食いてえなぁ、和風餅ピザ!
昼間とかはさっさと食いたい欲のが強いから簡単に済ますけど、真夜中の食事になればなるほど手間をかけたくなるってもんで…。焼き上がりまではSNS見てっかな〜。
わ、メグサン卵かけご飯食ったの…?うわぁ高そうな卵…。っていうかメグサンもこんな時間に夜食するんだなぁ。23時以降は食べませんとか言ってそうだったからちょっと意外だし親近感。
お腹減ったまま寝るのって結構辛いっすしね〜〜
なんて考えていればぴぴぴと焼き上がりの音。
蓋を開ければじゅうじゅうと溶けた香ばしいチーズが美味しい音を立てた。
『うっわ、ビジュやば…。えっとキッチンバサミどこやったかな』
クッキングシートに乗せたまま鍋から皿にスライド
させ、ハサミでピザみたいにカットしていく。
『あち…』
皮はぱりぱり。とろとろのチーズ。もっちりした餅。マヨネーズと醤油の香り。そんでここにツナとネギが隠れてるんだから本当やばい。
『ほわ……これっすわぁ』
でも俺は知っている。これが激熱って事を。
しかし俺はとろとろチーズをこのまま冷ますなんて事は出来ないわけでして…。
ふーふーしながらかぶりつく。
『はふ…あち、……んんんッ』
マヨネーズ醤油の和風テイストの味に餅の存在感。とろとろチーズの塩味にツナの旨味と香り。そしてこってりした中で異彩を放つネギのあっさりシャッキリ歯応え。
『神降臨……』
ほわぁ、と感動しながらも手は止まらない。
熱いけど、これは熱いまま食べるのが一番。
やっぱ真夜中はチーズに限る。
『はぁ…超美味かった…』
しっかり完食。餅も入って満足感最高!ミシュランもびっくりっすわ。
『ふひ、真夜中だからとびきり美味いんすよねぇ』
本当は腹一杯の幸せ状態のままネサフと洒落込みたい所だけど、あいにく明日は早起きだから寝ちまわないとなぁ。
これで腹も満たされ満足して寝れそうだ。
洗いもんは…明日の俺に任せちゃお
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お腹すいた。私は再び空腹のまま寝ます。おやすみなさい