世の中に疲れた2推しが遊園地で2に遭遇する話 オクトパスが少し見える道の暗いベンチで、もうすぐ閉園のアナウンスをBGMに、チカチカと瞬く光を眺める。乗り物に乗るでもなく、何かを食べるでもなく。ただ光を眺めていた。なんとなく出先からの帰り際に思い立って、閉園まで一時間を切った遊園地なんかに一人で来てしまった。
光ばかり見ていても疲れるから、たまに空を、そして人が通りかかれば、視線を下ろして人間観察をする。人が行ってしまえば人間観察を終えて、再び電飾を眺める。
不審者や、寂しい人間に思われても仕方がない。でも私の目当ては遊園地の写真でも乗り物でも食べ物でもなく、この空間。少し肌寒くなってきた夜に見るきらめく電飾は、何故か暖かくて心に沁みる。この辺りは人気が無いからなお良い。綺麗だ。クリスマスイルミネーションとは違う。街のライトアップとも。プロジェクションマッピングとも違う。そんな集客力を持つ光とは違う。この光だから美しいと思う。
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