Good Night「ごめんね、少しだけ仕事が遅くなるから、お腹が空いたら、ご飯は先に食べておいてね。」
そんなテキストメッセージがエゼルから届いたのは、1時間ほど前のこと。
セシリアはソファーに座って本を読みながら、エゼルの帰りを待っていた。
一緒に父親を探してくれる、と約束してくれたエゼルと、きっと長くなるであろう旅路に出る前の数週間。
セシリアはエゼルの家で暮らしていた。
セシリアが寂しくないようにと、エゼルはいつもできるだけ早く帰ってきていたが、出発の日が近くと、研修が終わったばかりといえども定時上がりというわけにはいかないようだった。
セシリアのお腹がぐう、と音を立てる。そういえばあの日も、私のお腹が鳴って、フィアメッタお姉ちゃんがドーナッツを買ってきてくれたっけ。
1960