【炎司愛され　逆行もの】□エンデヴァー視点
〘1章〙

償えただろうか。
今際の際。目を瞑るときに浮かんだ言葉は、誰かへの投げ掛けのようで結局、己への問い掛けだった。
そうと分かったからか、……この震えた声は……夏雄か。夏雄から「結局自分しか見えてねぇな」と言われてしまった。
次に冬美が「お父さん、元気でね」と少し汗ばんだ額を布で拭ってくれた。この視線は冷だろうか？静かに側に居る。結婚も子供についても、戦いへの背中押しも、燈矢を止めたことだって。お前には本当に世話になった。
遠くからドタドタと足音が聞こえてから、力いっぱいに襖を開けた音がした。

「ハァ、ハァ……親父は？」

……焦凍か。約30年前にAFOは倒したものの、この個性社会で簡単にヴィランがいなくなるわけでもない。焦凍はあの戦いから帰還し、今もヒーローとしての活動を続けている。昨日もそれでパトロールだったはずだ。

遠くて近い威血頭ライバー威血頭プロダクションは、バーチャルの姿で配信者を生業とするタレントを扱っている

大体は"威血頭高校の生徒"としてライバーは所属し、学年や部活などで分かれ、企画や雑談、個人ではゲーム実況などをした

威血頭ライバーの特徴は、"善良な不良"だ
だが、一部の風紀乱れた者に対し、心持ちは悪を憎んで人を憎まずといった、自らの持つ"一途さ"で活動している
言動が荒っぽいだけの"良い子"たちなのだ

△△
配信時刻になり、スタンバイ画面から切り替わる
コメントやチャットも、待ちかねたとばかりに一斉に飛び交い、流れ出す

「お待たせしました、真宝だよ」
「こんばんは、満邦です」