「Good boy、ペパー」
たまに会う女性の口から発せられるものは、堪らなく少年の心をふやかして離さなかった。
ふわふわのミルクティーのような淡い髪色に、透き通った海のような煌めきのある双眼。長いまつ毛だって。どこもかしこにも血縁を匂わせる2人には、それこそ血縁には相応しくない空気を纏っていた。
「Come」
白衣を着た女はこの薄昏い部屋の中で洗練されていて、神さまのようなものにも見える。まさしく覚束無い足取りでコマンド通りに近づく少年の目にも、そう映っている。あなただけの、ものになりたい。
「Good boy」
近くに寄っただけでも女は少年にご褒美を与える。頭を撫でて、抱きしめて。そうしているだけでも、2人はお互いに満たされていた。
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