好意大衆は衆愚だ。何故意見を周りに合わせるのか、僕は最後のひとりの幽霊族だから尚の事よく分からなかった。
「おじさん、人間ってのは何が好きなんですか」
もう読み終えたであろう新聞を読んでいたおじさんは鳩が豆鉄砲食らったような顔をして、その後、唸りながら考え始めた。僕はどういう風に答えるかを知りたいだけなので、そう考えずに早く答えて欲しい。うだつの上がらないおじさんはどうしてこうもノロマなのか。
「僕は人間で答えていいのだろうか。」
思ってもみなかったヒドイ回答に飲んでいたお湯でむせる。こりゃァ、だめだ。
「笑わないでくれよ……」
おじさんは少し不本意そうに言った。
「僕はおじさんが変なことを言うからむせたんです」
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