誰かのためのヒーロー目の前に降りかかる天災。それは予想もしなかった出来事の連続でヒーロー達は日に日に疲弊していた。
また1人とこの街を守る為に命が朽ち果てていく、増えていく死者と降りかかる天災、
また、警告音がなり新進気鋭のヒーロー部隊ピースアパートはまたこの街を守る為に街へと走り出す。
基地に待機している小日向からの司令を受け7人は自身の守るべき持ち場へと行く。周りの風景はココ最近と変わらず、誰が見ても地獄のような風景を昔のような豊かな街へと戻す為に走り出した。
自身に宿る力をフル活用し何とか敵を抹殺していく。敵から飛び出た血液が雨のように高生の降りかかる。
高生には守りたい人がいた。
それは、職業柄明言は出来ないが恋人がいた。
彼の優しさと安心するような抱擁感、それは高生の疲れた心に染みるもので高生の活動源でもある彼の存在。
今頃、避難場所で待機しているはずだと。最近は忙しく会う事はおろか、電話する事さえも叶っていない。
周りに敵が居ないことを確認し、小日向に連絡をしその場を後にする。
その時だ、ものすごい爆発音が聞こえてくる。一体なんだろうと思えば、そこは市民達が避難している施設の近くの爆発だ。
その瞬間、高生はすごいスピードでその場へと向かえば、周りは地獄そのもの。
施設が多少破損しており、覆い被さる程の大きい体をした化け物が施設の中へと入ろうとしたのが見える。
高生は素早く施設内部に入り、市民達を庇うための電気のバリアを貼れば化け物はその覆いかぶさった手をどけ、後ろへと後退りをする。その間に内部を確認すれば、落ちていた瓦礫の下敷きになっている人が数名見える。心が苦しいが今は目の前の敵をこの場からいち早く退かすことが1人でも多く助かるための最善策だと考える。
一瞬目が合った気がした、それは恋人である藍月すりっぷだ。不安そうな表情を浮かべているすりっぷくんに最大限の微笑みを浮かべ、目の前の敵にへと視線を移す。
まだ、応援は来ていない。
今ここの市民達を守れるのは俺一人だ
昔から誰かのためのヒーローになりたかった。
この街を守る彼らにずっと憧れていた、いつか誰かのために命をかけられるそんなヒーローになりたかった。
体がボロボロになるのが見てわかる、もうどこも痛くないのだ。まだ、守らないといけない。応援が来るまでは何も力を持たない彼らを。
右腕が切られ、その場に個体のものが落ちる。切れた腕からは血が垂れる。もう体が動かない、目の前の化け物はこの後の俺をどうするのかと考えれば、良くない方向へと考えてしまう。このまま四肢をもがれ、その後は俺をぐちゃぐちゃになるまでいじめた後に市民へと手を出すそんな良くない考え。
最期くらい、すりっぷくんと話したかったなぁ
どこかで聞いたことのある声が聞こえた時、目の前の敵が唸り声を上げた。応援が来たのかと思えば、優しく頬に触れる誰かの手を感じた。
目を開ければ、そこに居たのはヒーローのような服を纏ったすりっぷくんの姿だ。
「..な...んで、」
「今度は俺が守る番だから」
「..でも..すり..っぷく..んは...」
「高生くんを守りたいって思ったから。」
「また今度、どこで一緒にお出かけしよ?」
「ははっ...あたりまえ..じゃ..ん」
そういえば藍月を微笑み、目の前の瀕死寸前の化け物を倒そうと走り出した。
彼の姿はあまりにも輝いていてそれはまさにこの街に降り立った1つの希望だ。
きっと、彼なら俺じゃない誰かのためのヒーローになれるはずだ。
だから、俺は少しだけ寝ていよう。