例のゾ局本サンプル①私を後悔にしないでくれ
息苦しくてハーネスベルトを外した。頭を押さえながら壁を伝って、転びそうになりながら扉を開けて、やっとどうにかお手洗いに辿り着く。気持ちが悪い。内臓をそのまま吐き出してしまえそうなくらいなのに、何も食べていない胃からは少量の液体しか出てはこなかった。
目眩。頭痛。意識がぼんやりして、はっきりしての繰り返し。息ができない。私は、このまま──
暗転。
気がついた時には、もう夕方を過ぎていた。
あぁ、ここは医務室だ。左腕に刺されている点滴はもう半分以上減っていて、他にもいくつか機器が取り付けられているのがわかる。倒れた後に運び込まれたのだろう。多分、気付いたのはナイチンゲールだ。本当に頭が上がらない。
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