alternative 序章オルタナの海は今日も静かだ。
「司令、上がれるか?」
少し高い段差の上からワカバは手を伸ばした。
「……。」
手を伸ばした先にいる女性は黙ったままワカバの手を取る。
「ンンッ!」
ワカバ女性を引っ張りあげようとする、わかばの服をコジャケが引っ張る。
「コジャ、ありがと……でもやっぱ無理か…」
引っ張るが登ろうとする気配のない成人女性を腕だけで引き上げるのは無理があった。
「下から持ち上げられるかな?」
ワカバは段差を降りると、女性の踏み台になる様に足を持ち上げた。
ワカバはそれ程体力も力もない細身の少年だが、そんな彼でも持ち上がる程に彼女の体は軽かった。
「ンンンンンッ!司令、登って!!」
「……。」
足を持ち上げると女性は這うように段差の上へ登った。
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