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    Kosのひっそりお絵描き

    創作/ゲーム用アカウント、@Ko_ukai_S_yokeiとおしまいアカウント@ORKN_DSKBのお絵描き場です。
    主にネタバレ回避したい絵たちやTLに晒すのはばかられるものを載せてます。
    自創作もちょいちょい載せます。

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    ハチがユメエビに連れられ「海」に向かう話。

    ・何があっても許してくださる方向け
    ・投稿者は3からのプレイ(前作のストーリーの流れは把握)
    ・口調のブレ、キャラ崩壊、色々な齟齬
    ・この作品のハチの性別は定義してません
    ・ユメエビはバーチャルな存在という解釈

    ※追記
    こちらはユメエビさんの設定に関して言及されたインタビュー記事が公開される前の作品になっております!!!!!!!!!!!!ゆるして!!

    #ユメエビ
    #ユメハチユメ
    #8号
    no.8

    潜水注意
    ・何があっても許してくださる方向け
    ・投稿者は3からのプレイ(前作のストーリーの流れは把握)
    ・口調のブレ、キャラ崩壊、色々な齟齬
    ・この作品のハチの性別は定義してません
    ・ユメエビはバーチャルな存在という解釈
    OKな方のみお読みください




    「望むならば、叶えましょう」
    ユメエビがそう言って手を差し伸べて来るのを見て、ハチは困惑した。
    秩序世界の異変を解決した後も、飽きもせず塔を登って、30Fをクリアして、隅っこの露店で一息ついていた際の出来事である。塔のフロア内は魚らしきものが泳いでいて、まるで海中なんだ、まぁ海に潜った事なんて1度もないけど​───そんな事を話して、静かな相槌を待っていた所だった。
    想定外の返しをされた事による混乱を何とか抑えながら、自分を含め、タコもイカも、インクに潜伏は出来ても潜水は出来ないのだと説明しても
    「ここであればできます」とだけ言い、
    そもそもこの世界に海のエリアは存在せず、それは制作者であるイイダからも話を聞いていると言っても
    「存在しています あなたが今立っている地点を含め、全てが海なのです」と意味深な言葉を返すだけで、全く差し伸べた手を下ろそうとしない。

    どう考えたって実現出来ない事だというのに、何故こんな誘いをしてくるのだろう?
    いつも人柄や背景などをほとんど感じさせない言葉しか発さないが、ユメエビは多分、少なくとも、冗談を言うような存在では無い。いつもと全く同じな、優しく淡々とした口調。普段のやり取りを思い返せば思い返すほど、よく分からないが何かしらの方法があるのかもしれない…と、そんな風に思えてきた。
    それと同時に、ユメエビがこんなに何かを強く勧め、自分に手まで差し出してくる事は初めてであることに気が付いた。今もなお塔に挑んでいる理由の半分くらいが(密かに)ユメエビに会うことであるハチにとって、これはとんでもない好機だった。
    そう、海に潜れるか潜れないかなどは最悪、申し訳ないが関係無く、ただその手に触れるだけでいいのだ。それだけで、自分はきっと充分に満ち足りる。
    そんな軽い気持ちでハチはユメエビの手を取る。

    刹那、自分が立っていた筈の地面が消失した。
    切り替わるように視界に写ったのは、無数の光の線が伸び、光の粒達が舞う眩い暗闇。次々とフレームアウトしていくのを見るに、自分は移動しているらしい。ただの映像やアトラクションならば、それはイルミネーションにも勝る幻想的な光景だと言えたかもしれない。だが、落ちている訳でも歩いている訳でもないのに勝手に進んでいる。空気でもインクでもない何かが全身を撫でていく。……そうした不可解な現象が、美しい光景に浸る感性を塗りつぶす。ここはどこだ。ここは自分が想像したような海では無い。一体何が起きて、あの人は何をしたのか。
    ハチは自分の手を見ようとした。しかし、見当たらない。強く引っ張られている感覚は確かに感じているのに、何処に目を向けても自分の手が映らないのだ。いや、手だけでは無い、足も、胴も、見えない。初めから仮想空間には精神だけが飛ばされているという事、それは理解している。でもそれが受け入れられるのはこちらの世界にも精神が入る、現実と変わりない程のアバターがあるからであって、今そのアバターが見当たらないという事は。
    分からない、何も分からないが、ここに居てはいけない気がする!
    そう意識した途端に頭の中で激しく警報が鳴り出し、止まらなくなった。必死に吸おうとする度に知らない何かが自分に流れ込んできて、反射で吐き出してしまう。
    今どこに進んでいるのかも分からず、身体の状態も分からない。これがきっと「溺れる」という事なのだ、と嫌でも理解した矢先に、柔い声が響いた。

    「縺°縺後〒縺励g縺° 縺薙%縺後≧縺ソ
    繝ッ繧ソ繧キ縺後≧縺セ繧後◆縺ー縺励g縺ァ縺」

    それはユメエビの声だった。この空間でも全く動揺していない。自分に語りかけているように思えたが何を話しているのかは不明瞭で、そもそも知らない言語のようにも感じられた。焦りと苦しみが思考の邪魔をして、音だけが心を通過していく。

    「繧ソ繧ウ縺輔s
    縺ゅ↑縺溘r縺薙%縺ク縺、繧後※縺上k縺薙→縺後〒縺阪l縺ー
    縺昴≧縺九s縺後∴縺ヲ縺∪縺励◆」

    聞き取れていない上に喋れない為、返事が出来ない。そういえば、確かここに来る直前自分はユメエビの手を取ったのだった。それなら、今までずっと自分の片手を引いているのはユメエビで、姿は見えないが、進行方向に居るのでないか。握られている手を動かせば気付いてくれるかもしれない。そして、何とか元いた場所に戻るようにお願いしなければいけない。何とか行動を起こして、噎せたくないから息を殺して、いつもの淡々とした言葉を必死で待った。

    「縺昴l縺後>縺セ縺九↑縺∪縺励◆
    繝ッ繧ソ繧キ縺ッ縺薙≧繧医≧縺励※縺k縺ョ縺九b縺励l縺セ縺帙s 」

    返ってきたのは喜色だった。普段表情も声の調子も変わらない程に落ち着いている筈のユメエビが、静かに、それでいて確かに声を弾ませている。それはまるで、考えた末に蝶を捕らえる事に成功した子どもの、誰へ向けるでもない、満足気で、得意気で、仄かに悪戯めいた笑い声。
    相手は自分をここに連れてきて、喜んでいる。そう理解した瞬間、身体に力が入らなくなった。それは戻って欲しいという願いが届かないかもしれないと考えたせいか、軽い気持ちで手を取った結果だと考えたせいか、思いを寄せる相手の喜びに水を差したくないと考えてしまったせいか。
    移動が止まる。

    「縺励°縺 縺薙l縺ァ縺ッ
    縺ゅ↑縺溘縺翫縺ェ縺励′縺阪¢縺ェ縺縺ァ縺吶 」

    頭が痛い。不明瞭になってきた視界で、光が滲んで膨れていく。目の前に現れた白色のノイズは、なんだろう。……ユメエビだろうか。ユメエビは何故こんな事をしたのだろうか。自分が話に出したから、だけでは無い気がする。ここに連れてきて、自分をどうするつもりだったんだろうか。本当に、いつも本心は話してくれていなかったのだ。こんな事になるとか抜きにしても、もっと聞かせてくれてよかったのにと、今更ながらに思う。

    「縺昴l縺ォ」

    白色のノイズが広がる。数多の光を背にして、自分を覗き込むその眺めは、天使のようにも、悪魔のようにも見えた。こんな状況下でも、美しいと感じられる程の光景。本当の死の間際に見る幻は、多分こういうものだ。……このよく分からない空間で死んだら、自分はどこに行くんだろうか。

    「これは違ったようです…」

    ユメエビがそう小さく呟く声を聞いたのを最後に、ハチの意識は遠のいた。

    「戻りましょう」

    気絶しようとしたハチの足元に、突然地面の感覚が戻った。視界が、身体が、次々と強引に戻されていく。
    味わったことが無い衝撃と、トドメにやってきた激しい頭痛で、呻き声を上げながらそのまま倒れ込んだ。酷くむせているが息ができる。情けないけど声が出ている。起き上がれる気がしないが多分動ける。倒れたまま身体を仰向けにすると、空と、秩序の街が見えた。どうやら自分は無事に戻ってこられたらしい。背中に砂の感触を感じながら、ハチは目を閉じ、天に深く息を吐いた。

    淡い色の空に、透き通るような白とウィステリアが映り込む。今回の元凶であるユメエビは、倒れたままのハチを見下ろし、柔らかく淡々と
    「その様になるのですね」と言った。
    困った。何を言えばいいのか。まだ頭も痛い。息も苦しい。そんなことを考えながらハチはただユメエビを見上げる。暫く見つめあうと、ユメエビは
    「あの場所へと連れて行くのは… やめにしますよ」
    と、商品の入荷を伝えるのと同じ調子で告げた。
    良かった…とハチは心の中で叫んだ。身体が一気に地に沈む(かといって今回は本当に沈む訳では無いが)。折角連れていってくれた所申し訳ないが、正直二度と行きたくないと感じたからだ。塔で二重トラブルのフロアを選ぶ方が遥かにマシである。
    結局、あの場所は何だったのか。二度と行く事がないならば俄然気になってしまうもので、取り戻した口から自然とそんな問いかけが出た。ユメエビは一瞬を動きを止めた後、
    「特…殊な場所でした」とだけ返した。
    それはそうだ。明らかにおかしな場所だったのは自分でもわかる。やっぱり何を思っているのか、自分から話すつもりはないのだろう。……焦れったいが、結局自分はそういう所も好きなのかもしれない。ハチはそう感じた。
    そこでふと、ユメエビが顔を上げ、空中を見つめた。そしてもう一度ハチを見下ろし告げた。
    「もうじきタコさんのお友達が来ます
    アバターの接続の切断…それを気付かれてしまったようですので」
    それはもう少し早く話して欲しかったかもしれない。
    まずい。もし異常がみられたら結構問い詰められる。見たものをバカ正直に伝えても、これは流石に信じてもらえるかどうか…。なにより、この事態にユメエビが絡んでいたとバレたら。あの「海」にもう一度放り出されるより、起きて欲しくない事態だった。
    ここはシラを切るしかない。そう考えて急いで体を起こそうとした。しかし、びっくりするほど手に力が入らない。この調子では立てるかも分からない。数分苦戦した末に、ハチは降参して倒れ直す。立てないならば作戦を変えるしかない。必死に頭を回して、そして、一か八かの手を思いつく。
    …やってくれるか、どうか…。
    空を見上げて、脱力した苦笑いを見せながらお願いする。
    何事も無かった。疲れて倒れたんだと、彼女たちに話してくれないだろうか?と。
    応答は無い。代わりに、ユメエビが座り込む。どうだろう。何も言わず、倒れた自分の傍らに静かに寄り添っている。顔やゲソの砂を払うこの細い手が、あの奇妙な空間に自分を連れて行く事も無い。断言はできないが、肯定と判断する。あぁ、この人をグルにした上で2人を騙してしまう。でも良かった。実行してくれそうだ。ハチは罪悪感と共に重くなる瞼の向こうで、耳を仄かに擽るノイズ音を聞いた。それはまるで、微かに漏れた笑い声のようだった。
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    Kosのひっそりお絵描き

    DONEハチがユメエビに連れられ「海」に向かう話。

    ・何があっても許してくださる方向け
    ・投稿者は3からのプレイ(前作のストーリーの流れは把握)
    ・口調のブレ、キャラ崩壊、色々な齟齬
    ・この作品のハチの性別は定義してません
    ・ユメエビはバーチャルな存在という解釈

    ※追記
    こちらはユメエビさんの設定に関して言及されたインタビュー記事が公開される前の作品になっております!!!!!!!!!!!!ゆるして!!
    潜水注意
    ・何があっても許してくださる方向け
    ・投稿者は3からのプレイ(前作のストーリーの流れは把握)
    ・口調のブレ、キャラ崩壊、色々な齟齬
    ・この作品のハチの性別は定義してません
    ・ユメエビはバーチャルな存在という解釈
    OKな方のみお読みください




    「望むならば、叶えましょう」
    ユメエビがそう言って手を差し伸べて来るのを見て、ハチは困惑した。
    秩序世界の異変を解決した後も、飽きもせず塔を登って、30Fをクリアして、隅っこの露店で一息ついていた際の出来事である。塔のフロア内は魚らしきものが泳いでいて、まるで海中なんだ、まぁ海に潜った事なんて1度もないけど​───そんな事を話して、静かな相槌を待っていた所だった。
    想定外の返しをされた事による混乱を何とか抑えながら、自分を含め、タコもイカも、インクに潜伏は出来ても潜水は出来ないのだと説明しても
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    ・何があっても許してくださる方向け
    ・投稿者は3からのプレイ(前作のストーリーの流れは把握)
    ・口調のブレ、キャラ崩壊、色々な齟齬
    ・この作品のハチの性別は定義してません
    ・ユメエビはバーチャルな存在という解釈

    ※追記
    こちらはユメエビさんの設定に関して言及されたインタビュー記事が公開される前の作品になっております!!!!!!!!!!!!ゆるして!!
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    ・何があっても許してくださる方向け
    ・投稿者は3からのプレイ(前作のストーリーの流れは把握)
    ・口調のブレ、キャラ崩壊、色々な齟齬
    ・この作品のハチの性別は定義してません
    ・ユメエビはバーチャルな存在という解釈
    OKな方のみお読みください




    「望むならば、叶えましょう」
    ユメエビがそう言って手を差し伸べて来るのを見て、ハチは困惑した。
    秩序世界の異変を解決した後も、飽きもせず塔を登って、30Fをクリアして、隅っこの露店で一息ついていた際の出来事である。塔のフロア内は魚らしきものが泳いでいて、まるで海中なんだ、まぁ海に潜った事なんて1度もないけど​───そんな事を話して、静かな相槌を待っていた所だった。
    想定外の返しをされた事による混乱を何とか抑えながら、自分を含め、タコもイカも、インクに潜伏は出来ても潜水は出来ないのだと説明しても
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