恋と告別 悟に許嫁がいるという話は学生の頃、悟の口から聞く前からなんとなく知っていた。
呪術界に足を踏み入れたばかりだった傑が見聞きする物事は呪術に関わるものに留まらず、それらを取り巻く組織や派閥、または御三家なんかも例外ではなかったのだ。
御三家と聞いただけで何となく古くから伝わる格式高い家なのかな?と傑がぼんやりとしたイメージを持っていたところどうやらあながち間違いでもなかったらしく、その渦中にある悟を取り巻く人間関係はそんなイメージよりも複雑でありながら全く見当違いというわけでもなかったのがひとつ驚きだったのだ。
家の老人たちが決めた悟の許嫁の存在が想像ではなく本当に存在すると聞いた時はまず、やっぱり御三家ってそういうもんなんだな。と妙に納得したことを第一の印象として鮮明に思い出せる。
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