おくすり攻防「お疲れ様、〈夢主〉」
背後から声をかけられ、ゆっくり振り返ると赤い体の背の高い男がマグカップを2つ持っていた。何だバンバンかと、ほっと息をつく。
「頑張るのは良いけど、それで体壊さないでくれよ。昨日もずっとパソコンばかりと向き合っていたのだろう? たまには……」
「わかってるって、適度に休憩はしてるから」
本当かなと苦笑いをうかべるバンバンは、持っていたマグカップの内1つを〈夢主〉に渡した。中身は湯気が上がっていて温かい。
「コーヒー……じゃない?」
「ココアにしておいたよ、君が眠れなくなったら困るからさ」
「お気遣いどうも、ちゃんと時間来たら寝るから心配しないで。……あと、ココアありがとう」
彼女がココアを飲み干したのを見届けた彼は静かにほくそ笑む。彼が渡したのはただのココアではない、催淫剤……いわゆる媚薬と呼ばれるものを混ぜて彼女に飲ませていた。
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