もしも、どこかの、世界より 人間の男と友になった。
美しい男だった。
確かに眉目秀麗の見た目であったがそれだけではない。
その心も。
初めて出会った時、美麗な見た目にそぐわず、つまらん男だと思ってしまったことを、この先ずっと後悔するのだろう。見えなくてもそこあるものを見ようとしてなかったのはこちらの方だった。あの男の清らかで愚直で柔い、でも芯のある心。まるで少年のようにピカピカと光ってでまろいカタチでそこにあったというのに。
踏み躙られるまいと守るように纏っていた虚勢の鎧をもっと早く脱がせてやれば、ずっと早く仲良くなれたかもしれない。惜しいことをした。
元々人間は大嫌いだった。人間によって自分たち一族は散々な目に遭わされてきた。先祖から、自分も最愛の妻も、我が子に至るまで。本当に散々だった。
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