一番星を求めて ──星を見ました。異界の侵食の先に、一等輝く星を見ました。
白い壁紙、白いベッド、白いカーテンに、大きな窓。そこから差し込む淡い光が、寝台に力無く横たわる白い男を照らしていた。腕に管を繋ぎ、電子音が響く部屋で、微かに上下する胸が男の生存を伝えてくる。
死体のように変わり果てたレクイエム・白が、そこに居た。
かちゃん、と部屋の扉が開かれると、真白い部屋にぽかりと浮かび上がるような金の装飾の黒いジャケットを肩にかけた男がトランクを片手に入ってくる。白いメッシュの入った黒い髪を束ねた神経質そうな男は、寝台の横に立つとトランクを傍に置き白い手袋を嵌めた手で点滴のクレンメを調整する。
男の名はイソップ・カール
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