宝の在り処ザアザアと雨が降り注ぐ昼下がり。
ヌヴィレットはエピクレシス歌劇場横の人があまり訪れない場所で、雨に打たれながらぼんやり遠くを眺めていた。
あまり物思いにふける性格では無いのだが、フリーナが水神を降りてからこうして考えることが多くなった。
古龍の大権。それが自らに還ってきたのはいいが、約四百年もの月日を共にしてきた彼女が側にいない日々はなんとも味気ない。
フォンテーヌが一度水の下に沈み多少の月日は流れたものの、未だ内政は落ち着つかず書類の山が積み重なっていくばかり。セドナの計らいにより息抜きの為こうして人気のない場所で佇んでいるが、自身の胸にぽっかりと穴が空いたような感覚は無くならない。
(せめてリオセスリ殿に会えたら)
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