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    o_juju_Pd3fJ

    @o_juju_Pd3fJ

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    明i治i時i代ひぐちょ二章目
    デートのターン
    書いてる間は常にえろ親父を心に飼っている
    一応時代背景の考証はしてますが変なところあったらすみません……

    タイトル未定第二章俺は珍しい術式を持って生まれた為、これまで
    術式に纏わる職業を目指して勉強ばかりの日々だった。上京し、良い仕事に就いて稼げば故郷の親を楽させてやれる。今の時代、俺のように考える輩は掃いて捨てるほどいるだろう。ただ俺の運が良かったのは、俺の術式が呪術師にとって都合が良いということだ。特に守るべき大きな基盤のあるような家は。



    加茂家の利権を守る為に雇われたのだが、実態は主に呪術師の御三家である禪院家との派閥争いみたいな調停が殆どだ。稀に呪霊討伐の際、巻き込まれた一般人への補償など。
    一番の危惧は新たな当主候補の台頭だが、赴任された当初に相手のことは調べ尽くし、まだ相手が幼いこともあり具体的に何か手を講じるといったことは必要なさそうだった。当主には、万が一何かあった時の為に、ご自身の意向に沿うように御遺言を残してはと進言するに留めた。
    そんな当初の忙しなさが落ち着くと、当主から追加の仕事を頼まれた。脹相さんの家庭教師だ。彼は一般教養は身に着けてはいるが高等教育を受けておらず、知見を広めがてら家庭教師紛いなことをさせられている。
    最初こそ、普通に屋敷の外に出して教育を受けさせてはと提案したものの、彼が半呪霊であることや加茂家の汚点である人物の創作物であることが、加茂家的に支障となっているらしく外には出したくないようだった。
    脹相さんは俺の何が気に入ったのか、俺に懐き外の話を強請った。

    「先生と話していると自分の世界が広がるようで楽しい」
    「脹相さんはよく読書をされるそうですね、読書も世界を広げますよ」
    「そうだが、ちょっと違うだろう?本は書いた者の顔も声も分からないが、先生から聞く話は先生を通した世界だと感じられる。声の調子や表情、そういうのが楽しい」

    彼は俺を先生と呼ぶ。家庭教師だからまあそうかと思うものの、教師になるつもりなど毛頭無かったからなんだかくすぐったい。
    脹相さんは物静かで大人しい人だと最初は感じていたが、話してみると内面が深くて想いの多い人だと分かる。それは自分の中で血を操る術式を持つ者にふさわしいように感じた。

    「先生は法律に詳しいんだろう?例えば、弟が兄と姦通したとするだろう」
    「兄弟で?弟からですか?」
    「兄は弟を受け入れるものだ、しょうが無かったんだ」
    「まあ、そういうことに」
    「この場合、弟は罰せられるのか?」
    「近親相姦に対する罪罰は1881年に廃止されています」
    「何故だ?悪いことではないのか?」
    「外国の方が言うには、近親相姦の概念は道徳的観念の限りにおいて有効であるそうなのです。兄弟間でもお互いに愛情があれば罰するに能わず。」
    「……なるほど、そういう考え方もあるのか」

    彼との会話は毎日何気なく流れて行くが、後で思い出すと全てがあの日に向かっていた事だとわかる。

    「先生は誰かいい人がいるのか?」

    座学がてら彼の傍らで参考書を開いていた時だ。思わず顔を上げると、脹相さんは文机に頬杖を着いてあらぬ方向を見ている。

    「……おりませんよ、今は仕事で忙しくて」
    「でも、尚更家のことをしてくれる奥方が居ればいいと思わないのか?」
    「まあ、居ればいいでしょうけれど、ちょうど良い方も居ないので」
    「そうか……じゃあ、代わりに、火遊びをしてみるのは?」

    上着の裾を引かれた、と気付き服に目線をやりると脹相さんの指がそれを摘んでいた。次に顔を上げるとあらぬ方向を向いていた脹相さんが顔の向きはそのまま、視線だけをこちらに寄越していた。流し目というやつだ。
    彼は黙っていると少々強面である。それは顔立ちが整っている上、半呪霊故か鼻上の文様と生気にかける目元の影響かもしれない。
    しかしこれも上辺だけで実際は表情も豊かだ。そして言葉にしない分、目で語る人だった。

    「もっと、可愛いらしい女性とか……」
    「先生がいい」
    「脹相さん……」
    「駄目か?ただの火遊びだ」

    服を掴んでいた指がゆっくりと離れていく様子に頭の奥で何か激しく弾けた気がした。

    「すまん、こんな誘い方しか知らなくっン……」

    次の瞬間、彼の顔に手を添えて口付けしていた。触れるだけのを一度して、二回目は深く。湿った音を立てて口の中を探る。ちゅくちゅくと優しく舌を絡め吸ってやると触れている体が震えた。長い間そうしていように思うし、すぐ終わってしまったようにも感じる。唇を離すと、真っ赤になった脹相さんの鼻上の文様が俄に溶けだしているように見えた。

    「すみません、がっつきました」
    「謝らないでくれ……俺が誘った」
    「鼻上の……大丈夫ですか?」
    「あ!これは、感情が揺れるとこうなるんだ……」
    「……可愛い」

    思わず口に出すと脹相さんはまた顔を赤らめた。赤くなるのが恥ずかしかったのか、顔の文様が動き出して目元まで伸びる。赫鱗躍動で体温調整しているようだ。その様子に笑い出してしまい、脹相さんもつられて笑い出した。
    彼は美しいし可愛らしくもある。何処からどう見ても男性ではあるが、間違えてもいいくらい魅力的だった。しかし火遊び相手の前に彼は顧客のご子息であり、なにより彼の利権を守る為に俺は雇われている。例え火遊びであってもこれ以上の間違いは犯せなかった。

    「脹相さん、貴方は素敵な方です。ですがこれ以上の火遊びはいけません、お父様に叱られます」
    「……そうだな、先生の立場を考えていなかった、すまない」
    「いえ、良いものを頂きました、火遊びは出来ませんが、私は今後も脹相さんの味方で居りましょう」

    彼が自分をそういう相手に選んでくれた事実にこの上ない優越感を覚えた。だから気持ちは手放したくないと思ってしまったのだ。念友とまではいかないが、傍に置いて貰えたら。そう思ってしまった。
    だが、これはまだ本当の彼を知らない頃の話だ。



    加茂家に出入りを始めた頃は女中達にチヤホヤされていた。これは別に自分の顔が良いからとか、そういう事を言いたいのではない。単純に加茂家外部の人間が出入りする事が彼女たちにとっては珍しく、年齢的にも結婚適齢期だった為だろう。だから皆優しかった。
    ただ、脹相さんとよくお話するようになり、当主より家庭教師紛いの役を任されるようになってからは彼女らの態度が一変した。元より奥方は自分には声もかけてはくれなかったが、ありもしない噂を囁かれるようになる。

    あの人も結局あの呪霊に唆されてるのよ
    当主様と同じね
    男は皆あいつに誘惑されるんだわ

    噂が耳に入って来たのは加茂家に出入りするようになってから一年ほど経った頃だ。始めはあの口付けが明るみになったのかと肝を冷やしたが、同時に当主の話も聞こえてくることに違和感があった。噂が本当であればあの親子はそういう関係ということになるではないか。
    そういえば、脹相さんに近親相姦の罪罰についても聞かれたことがある。当主の息子に対する態度も、言われてみれば濃密な接触が多いように感じる。

    「脹相さんとご主人はその、仲が良いのでしょうか」
    「養父とその息子にございますが、噂は真実とは違います……」

    脹相さん付きの女中だけは信用の置けそうな人物だった為、何度か核心を探ったことがある。ただ彼女が真実を話さない理由が、誰かに気を遣っているような庇っているような響さえ感じるのだ。
    仮にも心を交わした相手である本人に単刀直入に聞くのも憚られる。
    もし真実が噂通り、自分の予想通りだった場合、俺の立場で何が出来るのか、そもそも確信も持てない状態で何か行動を起こすのは危険すぎた。
    そうやってさらに一年が過ぎる。





    加茂家に纏わる噂、実際に感じる好奇な視線、冷えきった夫婦関係、養子の息子を異様に可愛がる当主。呪術師の家らしく、と言えばそうなのだろうが、この家は禍々しいほど人の念が渦巻いているように見えた。呪術師の家でなければ結構な呪霊が育つだろう。
    そんな中で、脹相さんだけは真実こそお話にならないが、純粋で健気であった。

    「赤血操術は血を操る。体内の血も、同時に全てとはいかないがもちろん操れる。傷が出来ても止血出来る」
    「反転術式のようなことができるんですね」
    「先生は反転術式が使えるのか?」
    「五条家当主のように、とまでは行きませんが使えることは使えます」
    「先生は珍しい術式も反転術式も使えるなんて凄いんだな」

    庭で赤血操術の鍛錬を見学していたとき、珍しく当主が現れたのは脹相さんが二十歳になる年の春頃だった。

    「日車君、どうかなウチの相伝は」
    「ご主人、見事な術式です。特に穿血は、禪院家には無い速度の遠距離攻撃でしょう」
    「そうだろう、あれが打てる秘訣を教えてあげようか?脹相、こちらへ」
    「はい」

    当主は脹相さんを隣に呼びつけると徐に武道着の合わせに手を差し入れ彼の胸を揉みしだいた。俺は一瞬侮蔑の表情を作りかけたが、いつもの無表情を貼り付けるのに注心した。

    「……っ父上、人前では……」
    「父が息子の筋肉を確かめたらおかしいか?日車くん、この胸筋があれを打てる秘訣なんだよ、脹相の胸筋はしなやかで柔らかい、故にあの速さの反動も打ち消せる」
    「……ええ」
    「そしてこの尻だ」

    当主の手は胸から臀部へと移動する。袴の上から脹相さんの尻をまさぐるように撫でた。脹相さんは唇を噛んで足元を見ている。あの女中、噂は真実とは違うと言ったが、やはり噂通りの仲ではないか。

    「穿血の速さに押し返されない為にも脹相の尻は大きく肉付きがいいんだ」
    「勉強になります」
    「日車君は積極的に加茂家について学ぼうとしてくれていいね。そうだ、脹相も二十歳になることだし後学の為にそろそろ街中に連れ出してはくれないか?」
    「私でよろしいのですか?」
    「君なら色々と教えるのが上手いだろう。息子もよく懐いているようだし、京都駅まで鉄道を見に行ってはどうだろか、勉強になる」
    「脹相さんがよろしければ……」

    脹相さんは尻から離れない手を気にしながらも、驚いた顔で当主を見ていた。
    結局、お前の使用人も同行させなさいと当主が言われた為、三人での外出となった。日取りを決めてからの外出だった為、脹相さんはずっと上下の唇を同時に噛んだおかしな顔をしていた。歯でも痛いのかと訊ねると、楽しみでにやけてしまいそうだから我慢しているんだとこっそり教えてくれた。
    春の晴れた日を選んだ俺たちは、揃って加茂家の門を出た。俺はスーツではなくジャケットにズボン。脹相さんは女中が見立てたという杜若の羽織に小町鼠色の着流し。髪は普段の二つ結びはやめて後ろでひとつにまとめている。減り張りの効いた色合いに彼の豊かな体格も相まって非常に男前だ。

    「素敵です」

    素直にそう褒めると彼は視線を逸らして礼を言った。

    「使用人の言われるがまま着たんだ……スーツじゃない先生も、素敵だと思う……いつか先生の着流しも見てみたい」

    はにかむ脹相さんは年相応に可愛らしいと感じた。
    ではいきましょうか、と連れ立って歩き出すと女中は控えめに後ろを着いて来る。当主に監視するように言われたのだろうか。加茂家に出入りするようになり数年経つが、確かに当主の息子への執着は少し異常だし、先日のあれもある。昔の一度きりの口付けは知られていないようだが、俺の存在を警戒されてもおかしくはない。何か泳がされているような気がしてならない。
    脹相さんは本当に箱入り息子だった。ガス灯や店に陳列している商品など、本は読むから知識にはあるが実際見るのはが初めてのものが多かった。彼の賢い所は、あれは〇〇で〇〇というものだな、合っているか?と答え合わせを自ら行うところだ。一々褒めてやるとまたあの唇を噛んだようなおかしな顔をするから、俺の方も楽しくなってより大袈裟に褒めるようにしていた。
    京都駅に着き、機関車を眺めていた時だ、後ろで静かにしていた女中が初めて声をかけてきた。

    「円山公園の桜が見頃だと聞きました。午後は桜を見に行かれてはいかがでしょうか?馬車を手配致します。私はこの辺りで台所のお使いの用事を済ませねばなりませんので、日車様に脹相様をお願いする形になってしまいますが……」
    「父上は鉄道を見て来いと言ったんだ、花見をしたら叱られるだろう」
    「……誰も花見をしたと申し上げ無ければ、旦那様にも分からないことです」

    女中はしれっと言ってのけた。この瞬間に、この女中は屋敷の誰よりも脹相さんのことを理解し気にかけているのだと分かった。
    脹相さんは困惑したような顔でこちらを見るので、一度大きく頷いて見せる。

    「脹相さんのことはお任せください、旦那様へも適当に鉄道の話だけ致します」
    「ありがとうございます、では夕刻またここで合流致しましょう、脹相様をよろしくお願い致します」

    女中の初めて見る笑顔。彼女は深々と頭を下げ、次いで馬車を手配した。馬車に乗っている間も脹相さんはあのおかしな顔をしていて、もう笑っていいのでは?と促しても、先生に変な顔を見られるのが嫌だ、と可愛いことを言って頑張っていた。
    円山公園では中央にある祇園しだれ桜が見頃だった。しだれ桜を見ようと訪れた人々に紛れ、しばらく言葉も無く二人で桜を見上げる。さぞ嬉しそうに眺めていることだろうと脹相さんを見遣ると、予想と違い今にも泣き出しそうな顔をしていた。彼の手を引き人混みから抜け、人気の無い場所まで連れ出す。涙さえ零さなかったものの、濡れた瞳の縁がいつもにも増して赤い。

    「……すまん、先生と居ると楽しいのに、こんな……」
    「俺にはそういう我慢はしないで大丈夫です、言ったでしょう、味方ですと。話したいことがあれば聞かせてください」

    思わず普段の一人称に戻ってしまった。
    脹相さんは俯いてぽつぽつと言葉を零す。

    「……弟が居るんだ、元の家に……十三歳であの家に来てから会えていない……本家からも疎遠な状態だし、心配だ……桜を見ていたら、弟達にも見せてやりたいと思ってしまって……早く、俺が家を継げれば……」

    味方、とはよく言ったものだ、と過去の自分を笑う。おそらく彼は七年間もこうやって自分の気持ちを押し殺して来たのだ。あの日、彼の気持ちを貰って浮かれていただけだった俺と違い、彼は変えられない現状に不満も見せず、日々自分のやるべき事に向き合い、そんな中からほんの少しだけ文字通り心を砕いて渡してくれたのだ。それが今更、こんなにも愛おしく大事になるなんて思わなかった。

    「話してくださりありがとうございます。何か、弟さんと連絡だけでも取れるよう私が動いてみましょう」
    「父上が許さないだろう、憲倫の、元の家は加茂家一族からは疎まれている」
    「バレないようにやりましょう、あの女中も手伝ってくれるはずです」
    「……ありがとう……もし二人に迷惑が掛かるようならすぐに止めてくれ、大事な人達の立場が脅かされるのは嫌だ」
    「勿論、仕事を失うつもりもありません」
    「うん……先生、もう一つお願いがある」
    「なんでしょう?」
    「俺と二人の時は普段通りの話し方にしてくれないか?先生の『俺』が気に入ってしまった」
    「……慣れるまで、時間が掛かりそうです」

    脹相さんはようやく顔を上げて微笑んでくれた。



    合流場所までの馬車の中、脹相さんは先程と変わって思い詰めたような顔で、まだ言っていないことがある、と囁いた。

    「これは先生にも解決出来ないことだから心に留めておくだけにして欲しい。なにやら父上の素振りが怪しいから話しておく。聞こえているとは思うが、俺とあの人は姦淫の関係にある。あの家に来た始めの頃からだ。だが俺は本意ではない。それだけ覚えていて欲しい。……だからあの火遊びを、先生が止めてくれなかったら、父上が知った時は酷いことになっていたと思う。ありがとう先生、そして申し訳なかった」

    とうとう彼の口から直接話させてしまった事実に心臓の辺りがぎゅう、と絞られる心地がした。女中が言いたかった真実とはこのことか。
    俺は座席の隣に置かれた手をぎゅっと握る。今日だけであれ以来の触れ合いを二回もしてしまった。

    「謝らなくていい、俺は嬉しかった、後悔はしてない。その事を軽蔑も同情もしていないからな。脹相さんの、君の内面が何より崇高であることを今日知った。何か手を打てればいいが、君が言うように現状打破が難しいのかもしれない。助けが必要なら何でもするから言ってくれ」
    「崇高なんてことは無い……先生が知ってくれているだけで充分だ。それと、先生は何もしなくていい、今はまだ……」

    話していると合流地点に到着してしまった。名残惜しく最後に手を握り合い、馬車を降りて女中と合流する。屋敷に戻ると当主が直々に出迎えてくれ、脹相さんの口から鉄道の話を聞きたがった。女中は花見の事など本当に無かったかのように、あの笑顔も封印してしまい、普段の微笑を貼り付けている。本当に、何もかもが茶番だった。


    続く
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