変わらない君へ 何時からか、だなんて聞かれたならば答えは単純。自分の目の前に、彼が初めて姿を現した時からだ。
何も知らなかった、知ってはいけない世界で生かされていた自分に『外の世界』を教えてくれた。
多くの犠牲を払いながらも、存在する意味を共に見出してくれた。
――…それが、僕にとってのカバネの存在だ。
『後悔はさせない。早くこの手を取れ』
『君は…僕の事を知っていてそう言うの?』
『勿論だ。お前の事を知らずにこんな真似をするか』
『だったら、尚更…』
『今からお前は、アークの天子なんて紙細工の冠は捨てるんだ。――…名前は?』
『…クオン』
『行くぞ、クオン。道を選べるのはこの瞬間だけだと思え』
伸ばされた手を掴んでしまえば、きっと後戻りは出来なくなる。
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