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    bktous

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    漫画にできないけどぼんやり考えてたの小説もどきにでもしようかなって。
    転生ってむずくないすか?環境や経験が違うとやっぱり同じにはなれないと思ってしまうけど、でも知ってるってどういうものなのかなって考えた話

    ーーー
    ▼読む前の注意点

    ●脹虎ではない
    ●イタドリが結婚して子供もいる
    ●転生した脹相(仮)にもちゃんとした家族がいる
    ●絡みも一切ない本人達と思って読まない方が良い


    ーーーーーー

    転生した話きっかけは些細なことで

    授業の小テストをカンニングしようとした罰に友達と一緒に理科準備室の棚の掃除を手伝わされてホルマリン漬けの持ち心地に覚えがあるような?

    なんだっけこれ

    小指のささくれみたいになんとなく気になって
    その「?」が知りたくて紐をたぐりよせるように考えた

    家に帰ってスマホで動画をダラダラ見て過ごしたらささくれのことはすっかり忘れて
    季節ハズレのアルゴリズムで流れてきたハロウィン料理でウインナーでできた指のパスタを見てもとくに何の感情も無く
    日が経つ

    「ただいまー」
    大福を食べてる母さんがテレビに目を向けたままおかえりと声を返してくる
    「何食いよん」
    「山本のお婆ちゃんがくれたの」
    あんたも食べる?
    そう言って机の上の箱をこちら側に寄せてきた

    きくふくの大福

    「…珈琲のシミでマリメッコはやっぱきつくない?」

    一瞬、霧が晴れたように頭がスカッとして、ささくれのことを思い出す。
    コメカミの辺りがスースーしたかと思うと
    俺は吐き、その夜40度の熱を出し一週間ほど寝込んだ

    俺を心配するより先に大福の箱を非難させてた母さんがバカは風邪ひかないのにねぇ
    なんて言いながら欲しいものは?コンビニで買ってくるけどと言うのでここぞとばかりに高そうなものを言ってみる
    調子乗んなと言った後、父さんと車で出かけた音がした

    病院の先生に受験生かな?と笑いながら言われ、知恵熱と診断され母は恥ずかし~~~と顔を覆っていた。
    季節もあって病院で鼻の奥に長い綿棒突っ込まれた時は痛かったな
    熱が下がったころには普段たいして使わない頭に、普通の人間の、平凡とはあまり言えない人生があった

    知ってるのに知らない

    俺と情報の『俺』は容姿も背丈も運動神経も違う
    『俺』が覚えていた母親らしき人と俺の母は似ても似つかない
    肉体が違うからだろうか、それとも15年生きてきた俺に体が馴染んでるからだろうか
    戦闘ポーズをとっても宙に浮いたような感じで
    頭の中の人生は思い出というより映画を見て他人の人生を疑似体験した知識のようなものでしかなく
    宿儺が人を殺して、その時どう思ったか
    『怖くなった』『なんで』
    そう思った記憶はあっても感情は湧かなかった 可哀そうだな頑張ったんだなって他人事の感想しかない
    もしかしたら一生の記憶を一気に受け入れたからかもしれない 『俺』の中ではもう、このことに対して向き合い答えを出していた
    この情報が俺自身を達観させたかというとそうでもないと思う。
    もしかしたら父さんと母さんには何かが違って見えたかもしれないけど、とくに何か指摘されることはなかった。


    ところで、高熱まで出したというのに、すげぇ力に目覚めるみたいな漫画展開は無いらしい

    最初のうちは呪霊が見えっかもとか、祓ってる所に遭遇してぇとか、知ってる人にあったらどうしよう~とかソワソワしたけど
    日本はそこまで狭くなく、そもそも呪霊なんてもんが本当に存在してるかどうかも怪しい
    大人になって、結婚して、子供が生まれたらしい『俺』の家族に思いを馳せ、クラスの気になってる女子と比べる自分がいたりして
    おかげで高校時代彼女を作ることはできなかった 

    思春期が終わり、数年経てばこの記憶を考える時間は減っていき、数十年経てばキッカケがあれば思い出すこともあるけど数年に1度あるかどうかになった


    「お兄ちゃん待った?」
    「お前いい加減にしろよ、鍵忘れるとか馬鹿じゃん」
    「ごめんって~あ、ねぇねぇたかし兄ちゃんがさ」


    耳に入った会話に視線を向ける
    高校生と、大学生ぐらいの男女

    「兄ちゃんそういうとこあるもんな」
    「そうそう、まじで笑ったかんね。ぬけすぎww」
    「オマエが人のこと言えんのかって」


    真人はナナミンに、魂に合わせて肉体ができるって言ってたらしい
    じゃぁ俺はいったい誰なんだろうとふと思った
    俺の名前は虎杖悠仁ではないし、ピンクの髪でも、優れた運動神経もない。
    実際に身体で経験したわけじゃないのに、心を理解することはできるのだろうか?
    魂というのは本来そういうものの積み重ねじゃないのだろうか。
    俺の知る『俺』は本当の『俺』なのだろうか。
    でも確かに俺は『俺』を知ってる。
    でも同時に俺は俺の人生を歩んできたんだ、たまに『俺』を意識して反抗したこともあったかもしれない人生を

    魂が先か、肉体が先かなんてどうでも良かった
    今思えば真人の言う事は呪霊の話にすぎなかっただけなのかもしれない
    ただ、目の前の男の子を見て考えずにはいられなかっただけだ

    見た目が『俺』だったら、果たして中身は誰なのだろうか


    大学生ぐらいの
    俺より若い男の子は半呪霊でも無ければ受肉体でも無いだろうし、少なくとも弟だけじゃなく妹に兄貴もいるらしい
    女の子が呼ぶかぎりでは名前も俺の知ったものでは無いぽい
    印象的な2つのウニもどこへやら


    一瞬すら目が合うことは無かった
    楽しそうに喋りながら遠ざかっていく男女に、少しだけ寂しいような、恋しいような、懐かしいような…そんな気持ちが沸く。

    「やらし~若い女の子ジロジロ見て」
    「誤解だし」
    「パパきもい」
    「パパ泣いちゃうけど」

    『俺』の人生なんてただの情報でしかないと思っていても、大切だった人を目の前にするとそれなりに気持ちが沸いてくるものなんだなぁと思った

    ただの他人の空似でも願っておきたくなったのだ


    「懐かしい人を見かけただけだよ」
    「誰?」
    「声かけなくて良かったの?」
    「まぁ」



    どうぞお元気で



    おわり
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    bktous

    MOURNING漫画にできないけどぼんやり考えてたの小説もどきにでもしようかなって。
    転生ってむずくないすか?環境や経験が違うとやっぱり同じにはなれないと思ってしまうけど、でも知ってるってどういうものなのかなって考えた話

    ーーー
    ▼読む前の注意点

    ●脹虎ではない
    ●イタドリが結婚して子供もいる
    ●転生した脹相(仮)にもちゃんとした家族がいる
    ●絡みも一切ない本人達と思って読まない方が良い


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    転生した話きっかけは些細なことで

    授業の小テストをカンニングしようとした罰に友達と一緒に理科準備室の棚の掃除を手伝わされてホルマリン漬けの持ち心地に覚えがあるような?

    なんだっけこれ

    小指のささくれみたいになんとなく気になって
    その「?」が知りたくて紐をたぐりよせるように考えた

    家に帰ってスマホで動画をダラダラ見て過ごしたらささくれのことはすっかり忘れて
    季節ハズレのアルゴリズムで流れてきたハロウィン料理でウインナーでできた指のパスタを見てもとくに何の感情も無く
    日が経つ

    「ただいまー」
    大福を食べてる母さんがテレビに目を向けたままおかえりと声を返してくる
    「何食いよん」
    「山本のお婆ちゃんがくれたの」
    あんたも食べる?
    そう言って机の上の箱をこちら側に寄せてきた
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