あーあ、ずっと一緒にいれたらいーのに。────
先はないという事実は、火を見るよりも明らかだった。
頂上と底辺。エレメンタリースクールの子供にだって描ける簡単な三角形で、あまりにもハッキリとしたてっぺんとすみっこ。
それなのに、レオナさんの恋人の座に収まってみたいという渇望に、そして、実際に収まらせてくれるという本人からの誘惑に、どうしても抗えなかった。
(あーぁあ、ちょっと経験してみたかっただけなのにな。たった数ヶ月でも、独り占めできたら……なんて。)
世話係として通い慣れた部屋の真ん中、イチ学生には不釣り合いな大きなベッドで、隣に大好きな人の温もりを感じながらとろりと微睡む。そんなオレの髪を、レオナさんがゆったりと撫でる。
怠惰な生活を1番近くで見ていたから、付き合う前は、ことが済めばそのままだらりと寝てしまうんだろうと思っていた。なのに、こんな……大切な宝物を慈しむみたいに、いつまでもいつまでも飽きずに撫でていてくれる人だったなんて。無意識なのだろうか、厄介な色男だと思う。
2951