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    jwave073

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    jwave073

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    🌟課長のTL見てて思いついた短文です。
    課長要素ほとんど無いことに気付いたけど許せサスケ……勢いで書いたのでおかしなとこは目を瞑ってくださると助かります。

    疲労困憊マンの課長🌟と薬屋🍶の話 今日も朝から晩までみっちり働き、ふらふらになりながら家路についたルーク。ふと、路地の奥にぽつんと灯りが点いた薬屋が見えて首を傾げた。
    「あんなの、前からあったっけ?」
     疑問に思いながらも、栄養ドリンクでも売ってねぇかなーと足を向ける。
     建て付けの悪い引き戸を開けると、香と漢方独特の匂いに全身が包まれた。
    「ハロー? すみませーん……?」
     おそるおそる奥へ進むと、真っ黒の髪を暇そうに弄る美しい男が振り向きながらゆるりと流し目でルークを見た。
    「っ!」
    「へぇ……こんな時間に客とは珍しいな。何かお探しかい?おにーさん」
     妖艶に微笑む、やたらと色っぽい男に内心ドキドキしながらルークは「え、っと…栄養剤とかないかなーって」とへらりと笑う。そんなルークをジロジロ上から下まで眺めて、店の男、ジェイミーはにんまり口角を上げる。
    「生憎、市販のは取り扱ってねぇんだ。代わりに俺様直々に調合してやるよ。あんたにピッタリのをな」
    「えっいや、そんな悪いよ」
    「いいからいいから。そこ座りな」
     ジェイミーは年季の入ったパイプ椅子を出し、ルークを問答無用で座らせる。何が始まるのかと緊張した面持ちのルークにひっそりと笑いながら、ジェイミーは「胃の調子は?」「睡眠は?」と質問を重ねる。
    「ふーん、あんた会社勤めの課長さんなんだ。大変そうだなぁ」
    「はは、いやぁ……みんな頑張ってくれてるし、俺もみんなのために頑張らねーとって……」
     これまた年季の入ったペンでサラサラと問診内容を書いていく武骨な手。筋が浮かび、鍛え上げられたその手をぼんやり眺めながら、ルークは目の前の色香を放つ男がただの薬屋ではないと理解した。だが、この店は不思議と居心地が良く、リラックスしてつい体調とは関係ないプライベートな質問までも答えてしまった。
    「よし、じゃあ上脱いで横になれ」
    「あぁ……ってえぇ!? 脱ぐの!?」
    「触らねーとわかんねぇの。ほら早くしな」
     さぁさぁと急かされ、ルークはとりあえずジャケットとシャツを脱いで示されたベッドに仰向けになった。同性の男だから何も気にする必要はないのに、どうしてかひどく緊張する。というか無性に恥ずかしい。
    「へぇ……服の上からでも薄々分かってたけど、結構良い筋肉ついてんじゃん?」
    「うっ……」
     つぅ、と綺麗な爪が乗った指先が腹筋をなぞってきてゾワゾワした感覚が背筋を這う。だが嫌な感覚ではない。それが新たな扉が開きそうで逆に恐ろしかった。
    「にゃは、そんな硬くなんなよ。力抜け」
    「あぁ……んぐぅっ!?」
    「うわーガッチガチだなぁ。こっちは?」
    「っ……だい!!!」
    「ありゃりゃーこいつぁ重症。はーい息止めないでー」
     ジェイミーの指がルークの腹部のツボを押し込む度に苦痛の叫びが響く。ルークにとって拷問のような触診が終わる頃には、彼の目から涙が一筋流れていた。
    「しぬ……しんだ……」
    「にゃっははは! 泣くなよ可愛いなぁ」
    「かわ……?」
    「ほら。これを朝昼晩、飯の30分前に飲んだら良くなるぜ」
     いつの間に……いや、ルークが未経験の痛みに時間を忘れて悶えていた間にだろう。ジェイミーは調合し終えた漢方薬を袋に詰め、ルークの眼前に突き出した。
    「しっかり飲み切れよ? 俺様がせっかく作ってやったんだから」
    「あ、あぁ、ありがとう。いくら?」
     急いで服を着て袋を受け取ったルーク。ジェイミーの仕事の早さに驚きつつも財布を取り出した。が、ジェイミーは少し考え、にんまりと笑った。
    「……いい。初回はサービス。気に入ったらまた来いよ」
    「えっいいの?」
    「おう。さぁほらっ、店じまいするから帰った帰った!」
     またも急かされながら店を追い出されたルークは慌てて後ろを振り返る。
    「なぁ! あんた名前は!?」
     扉が閉まるほんの僅かな隙間から、あのぞくりとする妖艶な顔が見えた。
    「……ジェイミー。ジェイミー・ショウ」
    「そ、そうか! 俺は……」
    「また会おうぜ、ルーク。あと、勤務中以外は名札取った方がいいぜー」
    「えっ? あっ!」
     胸ポケットにクリップで留めたままだった名札に気付かないほど疲れていたなんて。ルークが恥ずかしさに赤面している間に、目の前の扉はすっかり閉められ灯りも消えていた。
    「ジェイミー……か」
     彼の名前を口にするだけで、なんだか口角が上がる。帰り道も背中に羽が生えたように足取りが軽い。
    「これ、絶対苦いんだろうなぁ……」
     袋の中を覗きながら苦笑する。だが、彼の言葉を信じてしっかり飲んでみよう。おそらく、いや確実によく効くはずだ。なんでって、彼と話しただけで薬を飲まずしてもすでに体にエネルギーが満ちるのを感じたからだ。
    「明日も行ってみようかな」
     今はまだ、自身がジェイミーに一目惚れしたことを理解していないルーク。ご機嫌で自宅へ帰り、久しぶりにぐっすりと眠り、長い長い一日を終えたのだった。



    おわげき
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