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    nyagwam1219

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    nyagwam1219

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    『落つる花弁』の一ページ目の対比で💧バージョン。👁️は出てこないけど父水です。
    わたしが楽しかっただけのお遊び文章。
    絵面最優先で書いてたら、処理しなきゃいけないの知ってるのに花を放置するクソ野郎になってしまった。
    何かが間違って続きが浮かんだら書くかもしれないけど、多分永遠に浮かばない。

    #父水

    舞遊ぶ花弁湿気を纏う初夏の夜。
    薄闇が空を覆い、眼下には星々の如く営みの灯りが瞬いている。
    昼頃であれば、人々の喧騒が届いていたであろう。今は建物を縫っては舞い上がる風の音が響くばかり。
    それなりに高さのある建築物の屋上、落下防止の柵の傍らに、一つの影が色濃く落ちている。

    そこに佇むのは一人の男。
    蝋色のスーツを纏う、白練と射干玉の混ざる髪。髪色は知命を思わせるが、顔を見れば而立の頃であろうか。左目に縦へと走る傷痕は痛々しいが、そこになくてはならないパーツにも感じられる。
    男が纏う薄い煙は、緩く喰んだその口元の煙草が発生源である。常時細く棚引く煙と、時折口端から吐き出される煙の塊。煙草の先端が赤橙に明滅するたびに、男の呼吸を示している。

    紫煙が揺蕩い、火種が煙草の命を削りゆく中で、唇の隙間から血液にも似た鮮やかな赤がチラリと覗く。忌々しいと言わんばかりの指先が、赤の色を摘んで引き抜いた。
    それは、唾液でしっとりと濡れた、ゼラニウムの花弁であった。

    花なんぞに興味は一欠片もなかったが、己の口から吐き出したものは別だった。
    知識として得たものは、花の名前と花言葉。女々しい慣習に充てられたその言葉は。無意味で馬鹿馬鹿しいものだと切り捨てるには、あまりに胸中を映し出していた。

    「尊敬」「信頼」「真の友情」

    思い出して、乾いた笑いが花弁と共に舞遊ぶ。そこに紫煙が絡みつき、心中を表すが如く収拾がつかない。
    たかだか花に、何を心乱されているのだろうか。
    自嘲も紫煙も花弁も。
    無機質な建築物の隙間へと、溶けて消えてしまえ。
    呪う言葉を音に乗せずに吐き捨てて、新たに口から溢れた赤の花弁をも薄汚れたコンクリートの床に吐き捨てて。

    ザリ、と音を立てて踏み締める。
    二度と鮮やかな色など咲かせぬように。
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