セラフィタの物語 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ガレマール国境沿いの辺境の山奥で、10人ばかりの歩兵分隊が壊滅していた。
倒れているのはいずれも生粋のガレアン族で、下級皇族の子息など、身分が高い特権階級の若者たちばかりである。
魔導院を出たばかりの彼らは、ぴかぴかの新兵で初任務として派遣されてきた。
地脈の終結点とされる座標に、新型の魔導装置を設置してくるだけの簡単な作業のはずだった。
この任務が終われば彼らは後方勤務となり、一生戦場に出ることはなく安全な帝都から机上の戦略論を繰り広げ、最前線へは属州から徴兵した蛮族を投じればいい。
実際の戦場で功績を挙げずとも、皇室に属する彼らは階級が変わることはない。
今回の派遣は、いわば現地訓練みたいなもので、出発した時はピクニック気分で浮かれていた。
5625