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    mia

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    作業通話で書いたものです。
    おそらくティカクロ。
    クロエくん≠花嫁さんという前提で、しかしクロエくんはもうすでにティカさんにとって大切な人であり、手放し難い存在になっているのでは?という妄想から生まれた話です。自由でいて、その上で隣にいて欲しいというのがティカさんの想いなのかなと。

    君がいる幸せ「それでねルチル達が──」
    「それは素敵だね」
    とある日の午後三時半を回った頃、西の魔法使いであるクロエとラスティカは魔法舎にあるクロエの部屋に集まってお茶会をしていた。魔法舎の廊下には二人の楽しげな話声が響き、中庭には小鳥の優しいさえずりだけが聞こえている。いつもは賑やかな魔法舎だが、今日はどうやら様子が違うようだ。南の魔法使いや東の魔法使いは賢者と共に依頼先へ。中央の魔法使いは皆で市場へ買い物に。北の魔法使いは各々できまぐれに出掛けていき、シャイロックとムルは西の国にあるシャイロックのバーへと戻っている。そうして気がついたら魔法舎にはクロエとラスティカだけが残っていた。魔法舎に二人きりなんてことは始めてで、誰かと一緒に過ごすことを好むクロエとラスティカは自ずとお互いに会いに行っていた。そこからラスティカが午後にはお茶会をしよう、と提案し今にいたる。お茶会のために用意したティーテーブルは窓辺に置かれていて、窓側にはクロエが、その向かいにはラスティカが座っていた。話のお供にルージュベリーの紅茶を淹れて、会話は続いていく。

    ***

    「…それにしても、魔法舎に二人きりなんてなんだか不思議な感じ!最近は他の人も誘っていたから、二人でのお茶会も久しぶりだよね」
    確かに、魔法舎に来てからは賢者や他の魔法使いも交えてお茶をすることが増え、2人でのお茶会は久しぶりだ。クロエの言葉にラスティカは頷いた。
    「そうだね。ここには僕たち以外にもたくさんの人がいるから、いろんな話が聞けて楽しかったな。でも、皆とのお茶会も賑やかで素敵だけれど、こうしてクロエとゆっくり話せる時間も僕は好きだよ」
    「もうっ、あんたはまたそういうこと言って…」
    クロエは頬を紅く染めて、視線を横にながす。こういう気恥ずかしい台詞でも、さらっと言ってのけるのだからラスティカは本当にすごい。一方、当の本人は首をかしげ、にこにこと笑っているだけだ。
    「クロエ、どうしたんだい?」
    「な、なんでもない!」
    いつもはお喋りなクロエが急に黙ってしまったのを心配してか、ラスティカが声をかけてきた。クロエはその呼びかけに対し、思っていた以上に大きな声を出したことが余計に恥ずかしくなって両手で顔を隠してしまう。覆いきれていない耳までを真っ赤に染めている弟子の姿を見て、ラスティカはくすくすと笑った。

    ***

    「そろそろ皆が帰ってくる時間だね」
    「そうだね!お土産話たくさん聞けるといいな…って、わっ」
    その時、ぶわりと強い風が吹きカーテンが揺れた。窓からはどこからやってきたのか色とりどりの花が風に乗せられて舞い込み、窓際にいるクロエの周囲に、そして頭上に着地をする。
    「わぁ、びっくりした…!この花すごく綺麗だね、ラスティカ」
    「っ…!」
    ラスティカはクロエの姿を見てはっと息を呑んだ。クロエの茜色の髪を彩る、色鮮やかな花達と透明のレースカーテンはまるでウェディングベールのようで。目の前のクロエと花嫁の姿が重なる。
    「…ラスティカ?」
    がたん、と音を立てて椅子が倒れたかと思えば、ラスティカはクロエの傍までやってきてクロエを腕の中に閉じ込めた。
    クロエの頬をミルクティー色の髪が掠める。
    「くすぐったいよ、ラスティカ」
    笑いながらクロエもラスティカの背中に手をまわす。触れた背中は微かに震えていて、少しだけ頼りなかった。なんだか迷子になってしまった子供みたいだ。
    「…どうしたの?」
    ラスティカの背中をあやすように撫でながら、クロエは聞いてみる。しかし、ラスティカは取り乱しているようで返事は返ってこない。クロエもそれを咎めることはなく、ラスティカが落ち着くまで、ただ傍に寄り添っていた。
    「…クロエが」
    「うん」
    「クロエが何処かへ消えてしまいそうで」
    「…うん」
    「僕を置いて行かないで、クロエ」
    クロエの腰にまわされたラスティカの腕に力が込められる。縋るように、逃さないように。クロエは引き寄せられるまま、ラスティカの胸にもぐり込むと安心させるように優しく言葉を紡ぐ。
    「何処にも行かないよ。あんたを1人にしたりしない。」
    その言葉でほんの少しだけ落ち着きを取り戻したのか、次第にラスティカは腕の力を緩めていき、クロエと向き合った。
    それからゆっくりと右手を伸ばすと、クロエの頬に触れる。
    「…クロエ、大好きだよ」
    「うん、俺もラスティカが大好きだよ」
    クロエはラスティカの右手にすり寄り、幸せそうに笑った。あぁ、どうして今まで気が付かなかったのだろう。
    「…僕はクロエが隣にいることが当たり前になっていて気がつくことができなかったんだ。」
    大切な存在はこんなにも近くにいたのに。クロエと過ごせる日々は当たり前のものではないのだ。もう二度と大切なものを失くしたくない。
    「僕はクロエを手放したくない。」
    何時になく真剣な紺碧色に射貫かれ、クロエは息を呑む。
    「…それなら、俺たち、ずっと一緒にいよう。」
    自分の頬に添えられたラスティカの手に自身の左手を重ねながら、クロエは優しく囁く。
    「…これからも僕と共に歩んでくれる?」
    「…うん。俺もラスティカが大好きだから」
    「ありがとう、クロエ。」
    2人は視線を交わし微笑みあう。

    ──これからも隣に君がいれば幸せだから。
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    mia

    MOURNING作業通話で書いたものです。
    おそらくティカクロ。
    クロエくん≠花嫁さんという前提で、しかしクロエくんはもうすでにティカさんにとって大切な人であり、手放し難い存在になっているのでは?という妄想から生まれた話です。自由でいて、その上で隣にいて欲しいというのがティカさんの想いなのかなと。
    君がいる幸せ「それでねルチル達が──」
    「それは素敵だね」
    とある日の午後三時半を回った頃、西の魔法使いであるクロエとラスティカは魔法舎にあるクロエの部屋に集まってお茶会をしていた。魔法舎の廊下には二人の楽しげな話声が響き、中庭には小鳥の優しいさえずりだけが聞こえている。いつもは賑やかな魔法舎だが、今日はどうやら様子が違うようだ。南の魔法使いや東の魔法使いは賢者と共に依頼先へ。中央の魔法使いは皆で市場へ買い物に。北の魔法使いは各々できまぐれに出掛けていき、シャイロックとムルは西の国にあるシャイロックのバーへと戻っている。そうして気がついたら魔法舎にはクロエとラスティカだけが残っていた。魔法舎に二人きりなんてことは始めてで、誰かと一緒に過ごすことを好むクロエとラスティカは自ずとお互いに会いに行っていた。そこからラスティカが午後にはお茶会をしよう、と提案し今にいたる。お茶会のために用意したティーテーブルは窓辺に置かれていて、窓側にはクロエが、その向かいにはラスティカが座っていた。話のお供にルージュベリーの紅茶を淹れて、会話は続いていく。
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