びわうさSS①「好きうさよ」
暑さもなく寒さもなくただ平凡に過ぎていく日々を享受する。今日この頃。
さて、今日とは一体何時なのか。
そんなことさえ、わからない世界に僕は囚われ続けていた。
本当に刺激もなくてとても退屈だったんだ……あのうさぎに出会うまでは。
「うささささささ」
なんだいそれ、笑い声かい?
真っ白なうさぎは僕の周りを跳ねていた。
何度も何度もまわっては奇妙な奇声を繰り返し僕の周りを跳ね回る…流石に煩わしい。(べしっ!!)
「みぎゃ!!」
一体なんだい?僕の周りで騒がないでくれたまえ……。
うさぎを放り投げると、まるでぬいぐるみでも壁に叩きつけたような軽い音がした。
「……いたいうさ」
嘘つけ、君に痛覚はないだろ。
壁に叩きつけられた白いうさぎは顔色ひとつ変えないで、文句を言った。
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