深い森に包まれた館の中、出られもしない窓から差し込む薄暗い光が、広間にぼんやりと影を落としている。陽の光だけが呑気に暖かに差し伸べていた。
婦人は可愛らしいドレスに身を包み、楽しげに食卓で微笑んでいる。長い黒髪の先端がまるで溶けるように白く染まっていた。その赤い瞳が、鋭くも楽しげにチュチュを見つめる。
「チュチュ、どうしてそんなに怯えた顔をしているの?毒なんて入ってないわ、冷める前にお食べなさいよ」
婦人の声は甘く、優しい。しかし、その瞳の奥には、何か底知れぬものが宿っていた。
「……な、なんでも…大丈夫です、何も…」
チュチュは自分の長い髪の束を指先でいじりながら、小さく声を絞り出した。
「まぁ、本当?私たちは家族なのよ。…嘘なんていらないのに、何が気に食わないのかしら」
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