ただ安らかであれ 軽策荘から少し離れた南の竹林は、豊かに生い茂る笹の葉が朝露に濡れ、灰色の雲を遥か遠くへと追いやった空から注がれる日の光を反射しながらそよ風に煽られ棚引いている。
深夜から日の出前まで降り続けていた恵みの雨はすっかり止み、湿った土と爽やかな草の匂いを孕んで吹く風は竹と笹の隙間を通り抜ける度にその熱を下げ、加えて天に向かって真っ直ぐに伸びる鮮やかな深緑がもたらす天然の屋根により、周辺一帯を過ごしやすい温度に保ってくれている。
モンドから来る人々はその大半が璃月港を目指す為、石門の先の分かれ道で南下する者が多い。
此処、軽策荘方面を訪れる者は少なく、人の手があまり入っていない竹林の小道を経由しようとすれば猪やそれを目当てとした魔物に遭遇することにもなる為、自ずとこの道を利用する者は少なくなる。
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