岩神と雷神が惚気合った末に力で分からせようとする話 その①~⑬「流石かつて武神と呼ばれた存在ですね」
「永きに渡り稲妻を守り続けた者にそう称賛されることは存外照れるものだな」
何処か物悲しい空間で対峙しているのは、稲妻を統治する雷神バアルゼブルと、かつて璃月を治めていた元岩神モラクス。
二人はお互いの間合いに入るギリギリで言葉を交わし、その実力を称える賛辞に笑みすら浮かべていた。
しかし、二人の手にはそれぞれが愛用する草薙の稲光と破天の槍が握られており、その空気はどうにも和やかとは言えないものだった。
「モラクス! もういいでしょ!? いい加減その不穏なものを仕舞ってくれないかな!?」
「影、お主もこのような戯れに付き合うでない! どうせ妾達はこやつらが乳繰り合うダシに使われるだけじゃ!」
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