明日一緒に行かないか『明日一緒に行かないか』
いや、「どうだ、あんたこういうの好きだろう」
「もらったものだ、使わないのはもったいないからな」
いや、うむ・・・
夜更け大倶利伽羅は1人で悩んでいた。
手には舞台のチケットが2枚。歌仙をデートに誘うためのしゅみれーしょんをしているといったところだ。
明日はふた振りともそろって非番であり、この機会を逃すわけにはいかない。
だが口下手で素直でないこの刀にとって自分の恋人を誘うのはなかなか簡単なことではない。
「・・・・・・遅いな」
そうだった。大倶利伽羅は今歌仙が来るのを自室で待っているところだ。今夜は大倶利伽羅の部屋で過ごす約束をしていたのだった。いつものように、酒を用意して、歌仙を待っているのだが、なかなか来ない。
その時、スラ、と襖が開いた。噂をすればなんとやら
反射的にチケットをズボンのポケットにしまい込んだ。
いや、しまっちゃダメだろ、誘うんだ、よし・・・
「歌仙…「いや、遅くなってすまない。主に呼ばれていてね」
とそそくさ大倶利伽羅のとなりに座った。
「聞いておくれよ、明日出陣するはずだった刀が変更になった影響で、代わりに僕が畑当番にまわされてしまったんだ。」
「・・・・・・!明日、非番じゃないのか・・・」
「ああ、そうなんだよ!それにしても、何故よりによって畑当番なんだと!そう思わないか?!ねぇ、大倶利伽羅!・・・大倶利伽羅?」
「・・・・・・。」
なんということだ
いよいよ誘えなくなってしまった
あとは大倶利伽羅は無心で酒を飲み
いっぽう歌仙も歌仙で文句を垂れながら酒を飲み・・・
結局デートの誘いは切り出せず、とうとう眠りにつこうと、床までととのえてしまった。