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    sirogane

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    sirogane

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    αジオとΩフリの間に生まれた娘・アメリちゃん(完全オリキャラ)とアメジオの微笑ましい攻防戦。のつもり。

    #ジフ

    オメガバジオフリの子供ちゃんフリードとアメジオが結ばれてからしばらくして子宝に恵まれた。元気一杯の一人娘、名はアメリ。父母の瞳の色から連想される宝石から付けられた名前に負けず、笑顔輝く活発な子供へと成長した。
    もうすぐ六つの歳を数えるというそんなある日、学校に行きたいと言い出したことからひと悶着起きることになる。

    放任主義のフリードはともかく、親になって過保護な子煩悩と化したアメジオがそれを許さなかった。
    勉強の面では博士のフリードがいるし、バトルのノウハウならフリードとアメジオで教えることができる。というか、もうしている。
    物心ついた頃からバトルに興味を持っていたアメリに、2人は色々教えていた。幼児の学習能力はそれはそれは目の瞪るものがあり、二人が教えることはどんどん吸収していった。今では並みのトレーナー相手なら勝ってしまえそうなほどにまで成長している。
    そして既にパートナーポケモンも存在していた。ブレイブアサギ号に住み着いた野生のポケモンとアメリが意気投合したのが数年前のこと。出会ってからずっと同じベッドで仲睦まじく寝ているし、バトルごっこをして傷だらけになって帰ってくることもあった。それは数年たった今でも変わらない。そして、これはいい機会だと、パートナーになることをフリードが提案した。二人の絆は深く強かったから。そして数ヵ月前、アメリの手にあるモンスターボールへと自ら入ったことで正式にパートナーとして新たな関係が始まったのだ。
    そのパートナーとアメリは絶賛バトルに夢中だった。そしてバトルを通してもっとポケモンたちのことを知りたいと思うようになっていった。学校というものを知って興奮するアメリを見たフリードは「俺の血かなぁ」と苦笑い。この時点で父母から十分すぎるほど知識を与えられているにも関わらず尚収まらない貪欲な探求心は正に母親譲りだった。
    入学を切り出したアメリは反対されるなんて思っていなかったのだろう。初めてアメジオに「ダメだ」ときっぱり断られたときは船を揺るがすほどの大泣きをかまして部屋に閉じ籠ってしまった。しかし一頻り泣いてスッキリしたらすぐに飛び出して来て、すぐにアメジオへの説得に乗り出したのだ。アメジオとアメリの終わりの見えない攻防戦はそこから始まった。
    今もアメリは1人でアメジオに交渉してる。しかし毎回口でこてんぱんに負かされてフリードに泣きつく、という毎日を繰り返していた。
    そんなある日のこと。無い知恵を必死に絞った結果、勝ち誇った笑みを浮かべたアメリがアメジオの前にやってきた。母フリードを引き連れて。
    フリードは入学賛成派だ。確かにアメリにはバトルのノウハウは教えてやれるし同年代では間違いなく圧倒的な強さを誇っているだろう。だがいずれ経験不足が浮き彫りになってくる。いろんな人とのバトルや考え方に触れて得られるものも多い。それに同い年の友達を作ることも大切だ。そう思っているからこそ、フリードはアメリの申し出を受けようと考えているのだ。
    しかし愛しの妻を目の前にしてもアメジオは動じることなく、アメリに淡々と言ってのけた。

    「勉強もバトルも、ここで学んでいるもので十分だ。わざわざ他所でやる意味がない」

    聞き飽きた言葉に、アメリはまろい頬をぷくりと膨らませた。不満たっぷりな表情のままフリードを見上げれば、苦笑いを浮かべながら助け船を出さざる得ない。

    「とか言って、アメリと離れるのがさみしいだけだろ」

    「……………………それだけじゃない」

    昔ならいざ知らず、素直な気持ちをムキになって否定することがなくなったアメジオは図星を突かれて言葉を濁した。

    「お、認めましたよ。アメリ~お父さんはお前がいなくなるのさみしいから嫌なんだって」

    茶化すようにフリードがアメリに顔を寄せてにやける。その言葉を聞いたアメリは大きな瞳を見開いてアメジオを見つめ………スッと細めた。

    「わがまま言わないでよおとうさん」

    「ぐ…っ」

    それはそれは冷たい視線と声がアメジオへと突き刺さる。
    アメリに連勝中だったアメジオが、ここに来て劣性に立たされた。そこへ畳み掛けるように、あくまで柔らかい声でフリードが娘の肩を持つ。

    「行かせてやれよ。いろんなバトルを経験して学べることもある。それに、同年代の友達って大事だと思うぜ」

    「お、呼んだ」

    「こんな感じで」

    なんというタイミングか、オリオがひょっこりと現れた。
    そういえば幼馴染みだったな、とアメジオは思わぬところから現れた敵に米神を押さえる。

    「オリちゃん」

    パッと表情を明るくしたアメリがオリオの腰へ抱きつく。女子同士ということもあってか、痛く懐いているのだ。

    「つい出てきちゃったけど、こんなところで話すこと」

    ここはミーティングルーム、いつ誰がいてもおかしくない集いの場。飲み物を片手にやってきたオリオがアメリを受け止めながらフリードを見やる。

    「今更だけど聞いてよかった話」

    「ああ、全然深刻な話じゃないから大丈夫。ほとんどの子供は学校に通うから、こいつが行きたいなら別に反対することでもないんだがなぁ」

    「そんなに不安なの」

    よじ登ってきたアメリを抱っこしながら、オリオはアメジオに問いかける。
    アメジオがブレイブアサギ号に乗ってもうすぐ10年が経とうとしていた。それは船のメンバーたちと打ち解けるには十分な時間で、もう家族同然の間柄だ。しかしそんな気の置けない仲間たちにも今だけはあまり関わって欲しくないと思っていた。学校への入学賛成派が増えそうだから。

    「必要性を感じないしまだ早い」

    学校へ行っても行かなくても生活に支障はないし興味のあるバトルも何ら問題ない。それにもう少し大きくなってからの行動でも遅くはない年齢だ。

    「アメジオの言いたいことはなんとなくわかるけど…でもな、今やりたいって言ってることをさせないのは本望か今した経験が将来に大きな影響を与えることもあるだろ。」

    アメジオは黙る。小さい頃の経験は大事だと、子育ての本にも書いてあったのを思い出した。

    「それに、必要かどうかは本人の問題だ。アメリが今必要って言ってんだからそれを応援するのも親の義務であり権利でもあると思うんだけどな」

    フリードはアメリの頭を撫でながら、アメジオへ優しい眼差しを向ける。それはアメジオの心中を悟った上での説得なのだと言っているようだった。
    フリードは散々考え調べていた。アメリが学校へ行くことについて。そして行ってもいいと結論を出した。それはフリードと同室で過ごしているアメジオも知っている。結局は意地なのだ。愛娘が目の届かないところへ行ってしまうことへの不安と寂しさから逃れるための。それはアメジオ自身が一番分かっていた。分かっていて、アメリの頼みを断り続けていた。
    だからフリードの説得に対して言い返す言葉なんて持っていなかった。情けなさで心が満たされ、呆れてゆるりと首を振る。しかしそんなアメジオの様子を気に止めることもなく、アメリが元気に言い放った。

    「あたし、おともだちほしいあとみんなでおべんきょうしたいし、この子ともっと強くなっておとうさんにボロがちするから」

    アメリはパートナーの入ったモンスターボールを撫でる。屈託ない笑顔でとんでも宣言されたアメジオの心中は決して穏やかといえるものではなかったが、それに反してオリオとフリードは大笑いし出した。暫く二人の笑い声が部屋に響く。

    「ほら、アメリもこう言ってるしなそれに…」

    一通り笑い明かした後、フリードはアメジオの手を取り、自身の腹へと導いた。

    「アメリが離れても、この子が寂しくさせないって言ってるぜ」

    まだ僅かだが小さな膨らみを感じる。あと半年程で生まれる新しい命の存在をその手に感じると、アメジオはもうそれ以上何も言えなかった。

    「ずるいぞ、フリード…」

    「なんとでも、2児のお父さん」

    「うぐぅ」

    目元を覆い奇妙に唸りながら幸せを噛み締めるアメジオ。

    (ほんと、親バカになったよなぁ)

    そんなアメジオの様子を、にやけながら見つめる。そして、ようやく。

    「………………………………………わかった」

    長い沈黙のあと、蚊の鳴くような声で、アメリの学校行きを了承した。
    完敗である。
    フリードとアメリはよく似た目を細めながらハイタッチする。実に数日前から始まったアメリVSアメジオの戦いは、母フリードを味方に付けたアメリの圧勝という結果に収まった。

    「ただし」

    アメジオの、珍しく大きな声が響きアメリがびくりと手を上げたまま硬直。まだなにか言われるのかと身構えた。

    「できるだけ、こまめに、連絡をすること。それが条件だ。できるか」

    アメリは必死に何回も頷く。それこそ首が取れそうなほど。

    「その日の出来事もちゃんと伝えるんだぞ。どんな小さなことでもだ。どこかの誰がさんみたいに報連相が出来ない大人になっては困るからな。」

    「お前…」

    口元をひくつかせるフリードと、「ほうれんそうならちゃんと食べれるよ」と誇らしげに頷くアメリに、オリオは吹き出すのを必死に我慢した。

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