サルベージ船『レッチド』航空機関士アンバーのログ#1,#21日目。記録者、サルベージ船『レッチド』の航空機関士、アンバー。
今でも自分の見たものが信じられない。あの化け物のせいでクルーは私以外全員死に、メインエンジンも停止してしまった。しかし船体自体の状態は悪くなく、生命維持装置もまだ動いている。エアロックからあの化け物を叩き出すことには成功したが、やつはまだこの船に取り憑いて中に入ろうとしているようだ。運がよければELT……救難ビーコンとメインエンジンを修理して、助けを呼べるかもしれない。
私はアンバー。この船『レッチド』の最後の生き残りだ。
2日目。記録者、サルベージ船『レッチド』の航空機関士、アンバー。
──最悪だ。仮眠している間に展望デッキの火災報知器と自動消火装置が作動した形跡があった。……そこには昨日叩き出したあの化け物が強化ガラスの窓に貼りついて、中に入ろうと執拗に窓を叩き続けていた!まるでここは自分の縄張りなのだと主張するかのように。やつは空気がなくとも、極限の宇宙空間の中でも生きていけるのだ。
私は恐ろしくなり、クルーの居住スペースに駆け込んだ。そうして同僚のマシューの部屋に向かい、彼の個人スペースから小型の溶接ツールを引っ張り出した。酔ったマシューの長話に付き合うのはうんざりだったが、最新型の溶接ツールを自慢してくれたことだけには最大の感謝を表したい。
さて、溶接ツールを手に入れた私はその足で資材庫に向かい、何枚か分厚い金属板を抱えて展望デッキへ戻った。幸いにも窓は割れておらず、化け物もどこかへ行ったようだったが──それでも安心できない。私はそれから1時間ほどかけて展望デッキの窓を金属板で覆ってしまった。今はこんな冷たい暗闇より、故郷の澄んだ青い空を拝みたい。
……記録終了。